頑張るぞ!と意気込む長期留学者へ伝えたい、頑張らないという大切さ

こんにちは、わたぽんです。

このブログを書いてる今は9月。今年もやってきました、夏の終わり。そしてこれは、多くの海外留学生にとっては始まりの時。秋入学が基本である欧米の学校へ留学する人は、夏~秋のこの季節に日本を飛び立つことが多いです。1年の交換留学生、海外大学に進学した人も。新しい場所での生活と学習に希望と夢を不安を抱いて。

よーし、頑張るぞ!と思ってる人は多いはず。全力で楽しんで、駆け抜けて、留学生活を謳歌してやる!とでもいうように。何を隠そう、僕自身がそう言って4年前に渡英しました。

だからこそ、今あえて書きたい。
今から長期留学する人達へ伝えたい。

「あんまり頑張りすぎるなよ」と。

 

長期留学生が陥りやすい「全力で頑張る=一番良い」という考え

「海外生活、全力で謳歌してやる!!」
「イギリスで頑張ってくるわ!!」

そう言葉を残して、海外へ飛び立つ人は少なくありません。

無理もないでしょう。

古くは森鴎外のように国費留学生として、あるいは福沢諭吉のように使節団の一員としてでしか、現実的には留学できなかったもの。小澤征爾氏のように、船で長時間かけて行くということもありました。現在でも長期留学は、誰でも選ぶという選択肢ではありません。その国でしか学べない、得られない何かを、目一杯吸い込もうと行くもの。やることはたくさんある。時間は限られている…!

それにメジャーな長期海外進学先であるアメリカやイギリスなんかの学費は、日本の私立よりももっともっと高いです。それだけお金をかけて行くのだから、絶対倍返しにできるぐらい海外で成長してくる!!というのは、とても自然な考えです(し、良いと思っています)。

だから、留学生活を全力で駆け抜けようとする人は多いです。その期間の長さに関わらず。

 

実際、僕は海外留学、あるいは海外研修と呼ばれるものには、常に全身全霊で挑んできました。高校の時に行った1週間のオーストラリア研修や、3週間のイギリス研修。目の前の事に目一杯集中し、最大限に感じる。毎日挑戦し、学び、そして遊び楽しむ事も忘れない。その結果自分の殻を破って成長する事ができたし、毎回新しい発見のある、充実したものとなりました。

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「毎日を全力で頑張る=一番良い」

それが僕の信じていた”正しい留学・研修”のスタイル。僕だけじゃない、みんなそうすべき。本気でそう信じ、時には周りにも訴えていました。

そして同じスタイルを、長期にわたるイギリスでの大学進学生活にも持ち込みました。

毎日全力!
大学での授業はもちろん、新しい人に積極的に話しかけ、交流の輪を広げる。新しい事には興味を持って、挑戦してみる。誘われれば、とりあえず行ってみる。朝から晩まで、時には日をまたいでまで。起きている時間すべてを100%の力で生きる。感じる。だって僕はイギリスについて何も知らないのです。もっと勉強しなきゃ、もっと活動しなきゃ、もっと外出なきゃ。

そうして1ヵ月が過ぎた頃、変化が起きだしました。

 

全力すぎて犯した僕のミス

全力を出せなくなってきました。

良く言えば「イギリス生活に慣れてきて落ち着きが出てきた」んですけど、なんか違う。色々やってみて、やっぱりうまくいかないことも明らかになってきた。例えば英語。僕の英語力は、想像以上に低い事が露見していました。そして段々、挑戦することを躊躇するようになっていきました。自分で勉強しようって言い訳して、部屋にこもる時間が増えました。気持ちだけが空周りしてる。するとふと、何かどうでもいいことを考え出したりしてしまう。

できたての心の隙には、日本での思い出が忍び込んできます。ホームシック。11月の初め。ああ、もう2ヵ月経ったんや。当時、強がって素直に書けなかった中途半端な文章、その残骸は今でも残してあります。

宮崎駿監督のアカデミー賞名誉賞を受賞を聞いて、なぜか思い出すあの名作。
課題が予想以上にめんどくさそうで、英文とにらめっこの毎日。しかしたまにはとツイッターを見てみると、なんと宮崎駿監督がアカデミー...

そこからの留学1年目は、切れていく気持ちをなんとか繋ぎ止めていくだけという、消極的な日々になってしまいました。もちろん、得たものは少ない。

しかし当時の僕は「頑張りが足りなかった」と考えました。

孫正義氏の自伝を読んだような覚えがあります。彼のアメリカ留学生活は、とにかくストイックで毎日が必死の日々の連続。「よーし、これこそが留学や。1年目の分、さらに頑張るぞ!」

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2年目はさらにストイックな生活を送るようになりました。これぞ留学生活と自分で言い聞かせ、毎日毎日図書室での勉強の日々。健康的な食生活?そんなものは無視する。だってごはんについて考える時間すら無駄やもん。

その結果(もちろんそれだけではないけれど)、鬱になりました。

この頃にやっと気づいたんです。ああ、全力で毎秒限界を突破するような、追い込んでばかりの過ごし方をしていたら、長期留学では続かないなって。

 

長距離走でダッシュすると息切れする

僕は留学を、いつも走りに例えて考えます。

数週間~数か月の短期留学(海外研修)というのは、短距離走のようなもの。全神経を一瞬に集中してスタートを決め、そのまま全力でゴールまで走りぬけることができる。もしかしたら800m走の最後の50mのように体が悲鳴をあげて脚がもう前に出ないと思うようなことがあるかもしれないけど、それでもあとちょっと!と気合で何とか走り抜けることができます。

一方、42.195kmのフルマラソンを、まさか50m7秒のペースで走り抜けられるわけがありません。800m走のペースで走り切れるはずがありません。短距離走と同じペースで走ると、ちょっと走っただけで疲れがたまりすぎ、まともに走りきることができなくなります。

それが、長期留学の姿。

全力で何日も何週間も走り抜けようとしたら、いとも簡単に潰れてしまう。無理をすれば、その見返りが必ずやってくる。

僕はこの長期留学の基準を半年=6ヵ月としているけれど、誤差はあるかもしれません。3ヵ月かもしれないし、もしかしたら1年以上なのかも、全力や気合だけではやっていけなくなるの。

 

でも、今から留学に行こうって人は、あまりその手の事を知りません。考えません。みんな初めて走る希望に満ち溢れたフルマラソンに、目をキラキラ輝かせています。自分がどれだけやれるかを、楽しみにしています。

だから途中で潰れてしまう人が出てくる。
中だるみして、当初の心持と比較してうんざりしてしまう。

若い人なら、もしかしたら体力は大丈夫かもしれません。でも、精神は意外にもろく、気付かぬ内に壊れかねないもの。実際に広くない交友関係の中ですけど、辛い思いをしてきた人を何人も見てきました。僕自身も経験しました。悪い場合は鬱になる。留学先で根を詰めすぎて、鬱になって無気力になって、何も手がつかなくなったりするなんて、もう誰にも経験してほしくない。

そこで覚えておいてほしいことがあります。

 

あえてペースを調節するのも大切な一手

頑張るぞ!と海外へ飛んでった人達は、頑張りすぎてしまいがちです。自分の限界を超えがちです。

だから、ペース調整というものも、頭に入れておいてほしい。

これは長距離走。
短・中距離走とはワケが違う。

長距離を走りきるためにはそれ相応のペース配分や力の出し方のコツがあって、それを自分なりにうまいこと消化できてないと、最悪、走り切れなくなってしまいます。一時的に見れば、もったいないと思うこともあるかもしれません。でも、あえてペース調整をすることで、より長く、継続的に活動する事ができるんです。結果、トータルで考えればより長い時間を自己の研鑽に費やせてる事に気づく。

具体的には、息抜き、休憩と呼ばれるものを、あえて意識しようということ。

いつも「頑張れ!!」と言う僕だからこそ、今日は強調したい。
「無理をしないことも大切な時がある。」

だから僕は意識的に気を休めるようにしています。

ところで、もしかしたら一つ別の大きな勘違いをしている人もいるかもしれません。

「日本であんなけやっても大丈夫だったし、留学先でも同じくらい頑張れる」みたいなの。これって結構危ない考え。

というのも、日本でずっと過ごしてきた多くの人にとって、日本にいる時って自然にリラックスできてる瞬間がちょくちょくあるものです。自宅で無意識に安らげてる時があったりとかも。

そう、無意識に。

食生活とか、明るい道路とか、人によって何に安心感を無意識に覚えていたかは違うけれど、慣れた場所での生活は無意識なリラックスをもたらしています。

でも海外に出ることによって、無意識にリラックスしてた時間が、グンと減ってしまいがち。すると知らない間にストレスや疲れも溜まってしまう。本業で同じペースで研鑽してるつもりでも、留学先での疲れは日本にいた時のそれとは差が出てしまいます。それに気づいてない人が、意識してない人が、多い気がします。

  • 弱いシャワーの水圧
  • フラットメイトのうるささ
  • 共用キッチンの汚さ
  • 気軽にごはんに誘える人の少なさ
  • 留学先での治安
  • ……

大丈夫って思ってたつもりが、知らず知らずの内に気にしてしまってた。リラックスできてなかった。思いもよらぬ事がストレスになってたりも。すると疲れがとれなくなってしまう。

だから休むこと、リラックスすることを、あえて意識してみてください。

 

さて、休め休め!ペース配分しよう!って書いてるけど、実は僕は最初からペース配分に偏重するのは、あまりおすすめしません。

 

おすすめのペース配分

おすすめのペース配分は、まずペース配分しないこと。

いきなりペース配分にとらわれないことをおすすめする理由、それは、人によってどんなペースが良いかなんて違うからです。僕には僕のペースやリズムがあっても、それが今読んでるあなたに当てはまるとは限りません。

だから、自分で自分のペースやリズムを掴まなきゃいけない。知らなきゃいけない。

そこで、まずは全力で走りだしてみてほしいです。リミッターを振り切ってみる。

例えるなら、短い距離の全力ダッシュ。これは二つの意味でおすすめできて、

  1. 自分が全力で限界を超えようとした時の力の出し方、体の疲れ方を体感できる
  2. スタートダッシュで周りに存在を知らしめれば、後々ちょっとくらいペースダウンしても許される

…かもしれない、ということです。二つ目のポイントについては、過去にケンブリッジ卒業生に教わり、自分でも実践してみたことです。効果あります。

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初めはがむしゃらに頑張ってみる。そうやね、だいたい一ヵ月くらい?
一ヵ月たったら、ちょっとペースを緩めて、その期間の振り返りを客観的に行う。自分がどんなことにストレスを感じだしてるとか、その時の疲れとか、どういう時に無理したとか、洗い出してみる。書き出してみる。辛いなと思うことがあれば、それは黄色信号。

そしてこれからの長い期間を見据えて、どのペースで自分が走ればいいかを考えてみる。これは人それぞれ。だけど全力で走ってみた自分を褒めて、ここからは無理をしすぎない。
もしかしたら、ずっと速いテンポで走り続けても大丈夫な人もいるのかもしれません。もしかしたら、思ったより疲れてしまっていて、ペース配分を真剣に考えなきゃいけないのかもしれません。

逆になぜ、例えば最初から70%の力で走りだすことをおすすめしないのか?

それは、自分の全力や限界を見ずにペース配分を考えたって、最適なペースを見つけ出せれない可能性が高くなるだけだからです。最後まで中途半端な速さで走って、余力を残してゴール。あれ、全然疲れなかったけど、これで留学生活良かったんやろうか?みたいな状態になりかねない。

それに、長い留学生活、どこかでまた全力を出さなきゃいけないポイントが来るかもしれません。例えば長文レポート提出前とか。そんな時に、一度本気で走っていれば、自分がどの程度の期間本気で走り続けても大丈夫か検討がつきやすいです。

だから一度本気で走り始めてみて、自分の全力や限界、疲れ具合なんかを体感し、そこから次の一手を考える。自分なりのペースを構築していく。継続的に無理をしない。それが僕なりのおすすめです。

 

わたぽんのまとめ的なにか

僕は頑張る人が好きだし、応援しています。でも、根を詰めすぎることによって途中で歩みを止めることになるならば、それは本末転倒でもあります。応援しているからこそ、しっかり休めよ、無理しすぎんなよって伝えたい。

留学生活の一部で100%の満足度を目指すのではなく、全体を通して満足度100%にできることに重点を置くように。

以上、わたぽんでした。ほなね!



わたぽんの簡単な自己紹介

わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら

ブログ「わたぽんWorld」について

僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!

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プロフィール

わたぽん(@wataponf1_uk)

高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでの1年インターンも獲得。現在は卒業し、日本でF1から離れ生活中。 詳しいプロフィールはこちら


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