留学一年目、大事なところで逃げた僕の結果

こんにちは、イギリスで大学生してるわたぽんです。
僕は夢を叶えるために、イギリスの大学へ来ました。夢を叶えようと頑張ってみても、失敗、挫折、屈辱…この辺のことは多々起こります。
後から振り返ると大抵のことは「まあ、えっか。」となります。その失敗から学び、巻き返し、ちょっと遠回りしつつも、目的の場所にたどり着けるものなので。たまにはそれが近道にもなります。
しかし、巻き返しが成功するまでの間は、「なんでできひんかったんや…」としょんぼりするもんです。人間の形をした、後悔の塊になります。
このブログではいつも失敗しても、「巻き返した後」に書くのですが、たまには「巻き返す前」に書いてみます。留学一年目に逃げた結果、犯した盛大なミス。
後悔の塊より。
あの時、イギリスに来た目的が目の前にあった
イギリスに来てすぐの頃。9月。大学は新歓期。
新歓イベントの一つで、Society(日本でいうサークル)を紹介するイベントがありました。様々なSocietyが各ブースで勧誘を図る中、僕がイギリスまではるばるやって来た目的が、そこにはありました。
“Southampton University Formula Student Team”
生徒自らがレースカーを設計、製作、外注、スポンサー集めなどをし、実際に他大学チームとレースをするSociety。日本では「学生フォーミュラ」と呼ばれていますね。
このブログの読者ならご存じの通り、僕の夢はF1マシンを設計するエンジニア・デザイナーになること。だからまさにその時、イギリスの大学でやりたかったことが目の前にありました。
とりあえずチラシを受け取りつつ、興奮のまなざしで展示されていたマシンを覗く。年度初め。最初のミーティング(説明会)日時が記されていました。
1週間後。
チーム紹介の説明会には、100人を超える人が来ていました。
その多さにびっくり。日本ではモータースポーツなんて下火なので、多くの人がレースに興味を示してることに、いくらか圧倒されました。
わたぽん、少しひるむ。
そして説明会はスライドを見てなんとか理解できたレベル。英語ムズカシイ。
さらにひるむ。
全体的なチームの紹介が終わった後には、各部門ごとに個別の説明会があります。エンジン部門とか、サスペンション部門だとか、そういうの。僕はマシンの外見を決める、空力部門の部屋へ。それが一番やりたかったので。(空力=空気力学、英語ではAerodynamics)
で、部屋に入るとさらに驚き。60人分の座席はパンパン。立ち聞きの人もいるほど。空力は全体でも、最も人気の部門でした。
そこで、何やらアツいことを音速でまくしたてている空力部門の長。
わたぽん、かなりひるむ。
僕がひるみすぎて消滅しかかってたところで、ミーティングは終了しました。次の週末には参加する部門を決めて、チームとしての活動スタートです。
選択と言い訳
1週間後、僕は空力部門のミーティングには行きませんでした。代わりに、昨年型のマシンを用いてテストをするテストチームに入りました。
理由は以下の通り。
- まだファウンデーションコースにいた僕は、空力関係の知識をあまり持ち合わせていなかった。
- テストチームでは、テストを通じてマシンの挙動を学べると思った。
- テストチームは、その時新しくできた部門。スタート地点は皆一緒。なんとか入り込める隙があるかなと思った。
- テストチームは人数が少なく、より関われそうだった
…というのは後から作られた立派な言い訳達で、すべての元となった理由はこちら。
- 空力部門、リーダーの人は厳しそうやし、人気も高くて競争率高そうやし、英語できひん俺が行ってもあんま関わられなさそうやし、怖い。
そう、怖い…。
本当に怖かったんです。緊張感漂う場所に、一人ポツンといる英語の理解に乏しいアジア人がいたら…。怖気づきました。僕、怖がりでよく逃げます。以前、少し振り返りました。

「来年からでいっか。」
夜、寮で一人うなずく僕。翌年には、通常の大学学部生となり、空気力学についても講義で学び始める。それからでいいかとなりました。その頃には英語もペラペラだろう、と。
さらに一週間後。
テストチームの最初のミーティングでは、予想通り人数が少なく、終始和やかな雰囲気でした。狙い通り?
逃げ道のその先
逃げ道だなんて書いてますが、当時は隙を見つけられた!という、ちょっとした喜びと、「やっぱ俺目の付けどころええわ」などという痛々しいナルシズムにゆったりと浸かっていました。実際、英語が壊滅的なヒョロヒョロのアジア人が楽しく参加できていたので、その点、間違ってはいなかったとは思います。
「とりあえず何も分からないから、ミーティング等は絶対に参加しとこう。後は指示に従えばいいや。」
こう思いました。
学生フォーミュラについて特に知らなかったので、どんなレースカーを作ってるのか、それぞれの器具等の英語名や使い方はなんというのか…。そういうことを学べればいいなと。
しかしそう物事はうまく運びませんでした。
順調に参加していくミーティング。
実際にベンチテストにも参加し、エンジンを動かし、データを取っている様子も見させてもらいました。部門リーダーが説明してくれました。あまり理解できていません。
「まあいっか」を毎週繰り返すのち、あっという間にクリスマス休暇。
僕はデータ分析なんかに関わってはいず、たいていテストやミーティングを見ていました。座りながら、立ちながら。最も、他のメンバーも似たようなものでしたが。
年が明けた1月。クリスマス休暇が明け、Mid term examが終わる1月。
“Sorry guys, I’m really busy lately as I’m in the 4th year and doing design project…うんぬんかんぬん。”
チームリーダーは忙しいらしい。
Facebookのテストチームのグループは、それ以来、更新されませんでした。
実質の解散。
僕の一年目のFormula Studentへの関わりは、これで終わり。特に学ばず、特に人脈もできず(一人だけ、顔見知りと友達の間のような人ができましたが)。
F1のエンジニアになるためには、学生フォーミュラでの経験は重要になる…。何年も前から分かっていた理論と、現実の僕の間…そこには大きな差がありました。
教訓:ただ怖いだけなら挑戦すべきだと思う
逃げることが、全て悪いとは言いません。時には逃げることが、賢い選択であることも多々あります。
しかし、もしただビビッて逃げただけならそれは、本当にどうしようもないただの逃げ。得るものは限りなく少なくなる。ただ、後悔だけがふんだんに残る。ああ、なんで逃げたんや…って。
目の前に広がる、見たこともない世界。怖くて当然です。ワクワクが勝ればいいのですが、そう都合よくいつもワクワクするものでもないし。
でも、見たことない世界でこそ、成長できるチャンス。
もしかしたら僕は、空力部門に入っていれば、確かな成長を見せていたのかもしれません。それも今となっては、ただの夢物語。イギリスの大学で使える限りある時間の内の一年を、僕は逃げることによって逃したのかも。
僕達はいつであっても、挑戦者。守る側の立場になるなんて、三百年早い。
挑戦者は、とりあえず首をつっこんでみるべき。
前のめりに失敗するべき。
それでやっと、何かを学べるのかもしれない。
特に留学というのは、見たこともない世界に首を突っ込めるチャンス。それを、怖いからと逃げていれば、わざわざ海を渡る意味なんてない。
実力が足りないなら、逃げるのではなくその場で学ぶ。失敗したらゴメンナサイと謝って、学ぶ。分からないなら、アノー、スイマセンなどと言って聞く。そうしてやっと、前にほんの少しだけ、進めるもんじゃないでしょうか。
高校の時、英語が分からなさすぎて壊滅的だった時、僕は分からないことは全て先生に質問してました。
「もうわけわからんわ」と毎日思いながら、毎日のように基礎的な質問をしてました。必死に、前のめりに恥をかいていきました。結果、英語が得意科目になり、イギリスの大学に進学できるようにもなりました。過去の自分の方が、よっぽど偉い。
見えないものが怖い?
当たり前です。すべて見通せたらいいなって思います。ゲームのように巻き戻せたらって思います。
本当に、後悔だけが残った一年目の出来事。
わたぽんのまとめ的なにか
イギリス留学一年目の僕の、完全なる失敗談。書くの怖かったけど、成功したことばかり書いても面白くないので、書いちゃいました。留学でもなんでも、何かしらのミスはつきものですね。
問題は、失敗から何を学び、次に生かせるか。
今の僕は、同じミスをしないように…そして、そのミスを挽回できるように、重心を前において走っているところです。
ちなみに人間は、体の重心をアンバランスにすることによって、前や後ろに進む動力を生み出しているんですよ。自然に。まっすぐ立ちながら体の重心を前に移動させていくと、勝手に前に足が出ちゃいますよね。前に進もうと思ってなくても。
逆立ちでは、そんな当たり前のことが自然にできなくて難しいんです。
追記:この時の屈辱というか、後悔を、少しは晴らせたかなと思います。

こんな風に、追記でどんどん後悔から進んだ証を書き足せていければいいな、なんて思ってます。
追記2:そして上記追記の翌年、F1チームで一年インターンを獲得しました。

以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介

わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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素晴らしいブログでした。
逃げずに頑張るって大事ですよね。
重心を前に置いて、歩き続ける。
これからもブログを楽しみにしております。