MEng?BEng?イギリスの大学システム解説と英国でインターンする方法
こんにちは、イギリスで大学生してるわたぽんです。
イギリスのビザルールは、めちゃくちゃややこしいです。ただでさえややこしいのに、頻繁に変わるから、大学の担当者もちゃんと理解しきれていない。大学に入るのは比較的簡単なのに、そこから働こうとしたり、ちょっとプラン変更…なんてものなら、制限の上に制限がかかってくる。
そんなにこの国は大学ブランドで金儲けしつつ、移民が来て自国で働くのを防ぎたいのか。
まったく…(´・ω・`)
てか僕はただ、レースカー作りたくてイギリス来てるだけなのに…。SR-71とかあまり興味ないよ…。
ちょっと大学システムとビザについて詳しくなったので、ボチボチと解説しようと思います。
大学学部、Bachelor
大学について考える時、まずホイホイっと浮かび上がってくるのが、学部か、院か。イギリスでは、学部のことをBachelor Degreeと呼んでいます。
バチェラー?
ばっちぇらー?
未だにうまく発音できません。いつも適当に言ってます。
イギリスでは、学部は3年間が基本。ファウンデーションコースを合わせても、4年で卒業できますね。イギリスでも日本と似て、理系じゃない人は、このBachelorだけ取って、就職なりニートなりにと変身する人が多いです。
いわゆる大学院生、Master
一方、日本で言えば2年間行くあの大学院は、”Master Degree“と呼ばれます。理系の人は、このMaster Degreeまで取ってから、就職やニートへの道を進む人が多いです。ちなみに博士課程はPhDです。
期間は一年。
もう、ついでみたいなもんですね。
学部と院のセットコース
さて、イギリスでややこしいのはこれ。
いや、ややこしいのはこのコースじゃなくて、ビザのシステムなんですが…。
イギリスの、特に理系では、「どうせMasterやる人が多いんだったら、学部に入る時点で院まで生徒確保しちゃえ」と思ったのか思わなかったのか、BachelorとMasterのセットコースがあります。
僕のいるサウサンプトン大学の工学を例に挙げると、以下のようになります。
- まず、通常の3年間の学部コースだと、BEng。Bachelor of Engineeringです。
- 次に、マスターだけだと、MSc。Master of Scienceという称号。1年コース。Scienceだけど、まあ工学です。
- そして”Bachelor + Master”だと、MEng。Master integrated Engineeringになります。これは4年コース。
なので、この場合Master Degreeを取得する方法が二つあって、
(1) BEngを3年した後、MScに1年行く
(2) MEngで4年
イギリスの現地大学生達は、大抵この(2)MEngで4年を選択し、Master Degreeを取得しようとします。まあ、大学のレベルが高い場合ですけど。評価の低い大学の人は、「BEngは低ランクの大学だけど、MScは高ランクのとこ(例えばケンブリッジ)で」みたいな方法も取ります。
MScは8月、9月に修了なのに対し、MEngだと6月、7月頃に修了。同じマスターでも、MEngの方が短いです。授業内容もほぼ一緒なんですが、その代わり、個人研究の時間が少なくなります。
MEngを3年でやめた場合
じゃあMEngを3年でやめたらどーなんねん??と思いますが、いたってシンプル。
実はMEngとBEngは、3年生までのやることってほぼ一緒なんですよね。だから、Bachelor Degreeもらえます。(2017年2月現在)
また、MEng内で、学科内での専攻選択(例えば工学部、宇宙航空工学科の、ロケット科学専攻、みたいな。)を、入学時にします。が、これも後で変更可能。
ますますBEngに行く理由が減ります。
ビザとATASの陰謀
ここまではいいんです。
正直、良いシステムやんなーと思ってます。大学院まで4年で終わらせられるし。
ただ、このBEngやMEngのことをよく分からず、またイギリスの大学事情をなめていて、
「院はロンドンやケンブリッジにでも行くかもしれんからなー。BEngにしとくか!」
と鼻ほじりながら決めてしまってた僕は、今、物凄い後悔をしています。
イギリスの大学院で工学系等を専攻する場合、ビザに加え、ATASというものが必要になります。
Academic Technology Approval Scheme(訳:くそっ、横文字にしたらなんでもかっこよくなると思うなよ。)
簡単に言うと、「軍事目的で技術を学びに来たんちゃうで」ってことの証明書です。
で、このATASがめんどくさくて、どんなけ頑張っても、最低絶対20日はかかるんですよね。平日だけで20日なので、まあトータル最低一か月。一か月もかかると。裏技はありません。
そして、International Studentは、BEngからMEngに変更したけりゃ、このATASを取って、大学からCASという、いわば「このコースにこの子入ります」みたいなこと書いたものをもらって、初めてコース変更のお話しを担当教授とできます。
ながい。
イギリス人なら、明日変えたけりゃ変えれんのに…。
実はBEngやMEngの変更は、サウサンプトン大学の場合、2年生のイースター休暇前までの間、一度だけできるのです。
そして僕は何をやらかしたかと言うと、その最終期限を逃してしまいました。笑
大学がそのコース変更の最終期限を、勝手に一週間早めたんですよね。あと、ビザルールがややこしくて、大学の役立ったことがないビザチームとごちゃごちゃし、色々他のこともしてたら、完全に逃してしまった。
はい、言い訳です。
ATASは実際にそのコースに行くと決まってなくても申請できるので、早めに申請しときましょう。心からおすすめしときます。
1年インターンをしたい場合
さて、そこにさらに混沌を追加したい方は、イギリスで就職、あるいはインターンをするという選択肢もあります。
就職はまたテーマが壮大すぎるので、もし仮に僕が就職できたら書く…かもしれません。
今はより近い、インターンについて。
インターンと言うと、日本では1日インターンとかあって、企業説明会の延長みたいな代物が出回ってます。が、イギリスではSummer Placement、あるいはYear Internshipのように、長期間、会社の一員となって働くというのが主流です。
このインターン、イギリスの大学生ならいつでも好きなようにできます。(企業側の条件が合えば。)基本的に、学年間でできますよって会社側は言ってます。つまりBEngなら2年と3年生の間で一年間、あるいはMEngで3年と4年の間に一年…みたいな感じで。
僕は今、BEngの2年。あれ、てことは今年が年間インターンを最後のチャンス。
ルールが変更しまくって、この状況に追い込まれてたことを知ったのは、2年生のクリスマス休暇前。うげっ。F1チームでインターンするつもりが。
そして僕たちInternational Studentは、会社だけじゃなくて、イギリスのビザルールにも従わなければいけません。それによると一年間インターンの場合、
- Placement is integrated of your course and assessed by your university
- Your visa will be extended by a 12 month period
- Letter from the university is required(色々なこと書いた書類提出)
ここで問題なのが、一つ目、「大学コースの一環として、インターンをすること」という項目。こいつにまじで、でこぴんをかましたい。(デコピンデイイノカ)
ようは、休学して行ってた従来のインターン像ではなく、大学のコースに組み込まれた形としてインターンに行くなら許してやってもいいぞ。とおっしゃってます。
ふざけんなよと。
そのコース、サウサンプトンではMEngにしかないで、と。
てことは、もう僕は年間インターンできないのでしょうか?
(後日追記:最終的に、僕のBEngのコースにインターンを追加した新しいコースを僕のために作ってもらい、そこにコース変更するという形で、インターンできることになりました。)
僕はなぜ詳しくなったのか?
さてさて、ここで唐突に話は終焉を迎えます。というのも、僕もここで今、つまづいてるからです。もし仮に、そもそもビザ的にインターンをゲットできない状況なのであれば、もう色々諦めようと思っています。
せっかくとあるF1チームから、1年間のインターンシップ、オファーもらったのにね。。。
およ??
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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こんにちは。
ビザのことで色々苦労されているようですね。
私はビザのシステムもF1の就職事情も詳しくはないですが、現地での
就労のハードルを下げるためにはワーキングホリデービザ(厳密には
”Youth Mobility Scheme”と呼ぶそうです)の取得も考えられると思います。
ちなみにドイツでは非EU出身でも学生ビザで年間120日までアルバイトやインターンが
可能で、所属しているコースが半年のインターンを卒業要件として定めている場合
などは120日以上働いてもかまわないそうです。ドイツにはLMP1のチームの拠点もありますね.
私は専門家ではないのでこれらの意見はあくまで参考程度に留めておいてください。
詳しいことはサウサンプトン大学の留学生課(ブログを拝見する限り、頼りにならないように
見受けられますが)や、現地の外国人局や労働局に相談されると良いと思います。
わたぽんさんが将来F1やヨーロッパのレースシーンで活躍されることを願っています。
こんにちは、コメントありがとうございます。
ワーキングホリデーは、確かにアリですよね。イギリスだと2年間有効になるのですが、なんとも抽選で決まるそうで。笑
実は、結構ドイツへ行くことも考えています。おっしゃる通りビザの要件が他より少し緩い場合が多く、モータースポーツ関連の会社も結構あるので!教えていただあきありがとうございます!