【北海道】天人峡温泉を廃墟にするのはもったいない!観光資源たっぷりの秘境

こんにちは、先日まで北海道旅行に行ってたわたぽんです。

北海道には多くの温泉、秘境があります。今回紹介する天人峡温泉もその一つ。

しかし、かなり寂れています。

人里離れた山間の狭い土地に突如現れる、昭和期に建てられたであろう建物。そこには人影は少なく、哀愁感さえ漂っています。これだけ聞くと、誰も行きたいとは思わないでしょう。

でも、天人峡温泉は人気スポットになれる、素質があります。

良いところなので、今のうちにこの秘境スポットをぜひ知っておきましょう。

 

宿は2軒、あとは廃墟の天人峡温泉

天人峡温泉があるのは、北海道の大雪山国立公園内。

旭川、富良野、美瑛から車で行け、途中からはゆるい上り坂の一本道を進んでいきます。(下写真右手の道。)

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道はかなり綺麗。寂れている温泉街への道にしては、やけにスムーズな道です。

近くを流れる川や、険しい岸壁、突然出てくるキツネ等を楽しみながら、最後にトンネルを通過。

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このトンネルを超えると、そこは天人峡温泉…!と川端康成の「雪国」を連想して、美しい風景を期待しますが、なにやら様子がおかしい。

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川は流れは綺麗なのですが、どこか哀愁感漂うこの感じ。

人もほとんど見かけない。

雨が降ったりやんだりの曇り空も相まって、そこは忘れ去られた楽園のよう。

と、トンネル出口すぐの駐車場に車を停め、歩きだしてところで気付きました。

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廃墟。
日本全国津々浦々の山際の温泉地にゴキブリの数ほどある、昭和感たっぷりのホテル、跡。

「なんなんやここは…」

下調べなしで来た僕は、あまりの悲壮感にあっけにとられました。

動画もどうぞ。

ここで少し解説。

天人峡温泉は、1897年に発見された温泉地。良質な温泉だけでなく、近くにある「羽衣の滝」など、風光明媚な場所です。

しかし2010年に、天人峡温泉へ唯一通じる道道が崩落。天人峡温泉は一時期、陸の孤島に。今は道路は復旧しているが、路線バスが来なくなった。

さらに2013年の冬の間に、イチオシスポットの「羽衣の滝」への道が、雪崩で崩落(崩落ばっかだな)。

これにより観光客が激減し、4軒あった宿の内、2軒が廃業。残り2軒も、以前から厳しかった経営状態に追い打ちをかけられた←なう!!という状態なのです。

 

だから廃墟ホテルが目立っていたんですね。

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写真右側の天人峡パークホテルも、すでに廃業。ちなみに左側の旅館は営業中で、宿泊者の評判は割りと良いです。

しかし、全体的に建物が古い。
平成に入ってから建てられた物はあるのか??と突っ込みたくなるぐらい、レトロな雰囲気に包まれています。

よくも狭い土地にこんな建物いっぱい作ったものです。

ただ景色は最高なんですよね、天人峡。

というか、観光資源めっちゃあるのに、なんでこんな寂れてんねん!?て感じです。ざっと見て、調べて、考えただけでも、おすすめしたい観光スポットが大量にありました。

 

実は観光資源たっぷりな天人峡温泉

廃墟画像をお見せして、悲壮感たっぷりなどと言ってますが、天人峡温泉の観光ポテンシャルはかなり高いです。僕がそう主張できる理由、天人峡温泉付近の観光資源のレベルの高さを紹介しましょう。

羽衣の滝と東洋のナイアガラ

大雪山国立公園内にある天人峡温泉の辺りは、水が豊富。まずは見るべきは、滝です。

「日本の滝100選」にも選ばれた「羽衣の滝」は、落差270mと、日本では2番目の高さを誇ります。

その上流には、「敷島の滝」もあります。落差は20mほどですが、その雄大さから「東洋のナイアガラ」と呼ばれるほど。

よし、写真を撮りにいこう!と思いたくなる場所です。

しかーーーし、2015年8月現在なんと遊歩道が通行止め中。2013年の雪崩による崩落後、復旧されていません。「羽衣の滝」と「敷島の滝」を見るには、登山道をせっせと登らなきゃいけない。なんとも言い難い状況です。てかこれが観光客が来ない理由の筆頭。

柱状節理と、見応え抜群の川の岸壁

天人峡を流れる忠別川の岸壁は、長年の水の流れにより削られ、見応えたっぷりの景観を演出しています。

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天人峡温泉の中心地からは、涙岩が見えます。

天女が羽衣をなくし、自分の国へ飛んで帰れなくなり、困って泣いた涙が、未だに流れている。

という伝説もある、神秘的な景観です。

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涙岩は全くの自然の風景。
天人峡に現存する2軒の宿の1つ、「天人閣」の露天風呂からは、涙岩を眺めることができるそうです。

他にも、特異な形をした岩、圧巻の岸壁がいたるところに見られます。

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そして岸壁について詳しく見ると、天人峡付近の岩は「柱状節理」という構造をしています。

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岩が六角形の柱状の形になっているんですね。どこにでもあるというわけではなく、地学的な分野でもその成り立ちは研究途中のものです。

ちなみに世界的に有名な柱状節理の風景は、アイルランドのジャイアント・コーズウェーでしょうか。とにかく、人里離れた土地にしかない、美しい風景なのです。

 

忠別川の絶景、日本一美しい沢も近くに

なにも岸壁を見なくても、忠別川それ自体が美しい川です。

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激しい流れ…この水の流れが、天人峡の早大な風景を生み出しました。

近くには「日本で最も美しい沢」と呼ばれるクヮウンナイ川もあります。物凄い名前です。

ナイアガラや最も美しい沢、滝100選と、水回りの観光資源はあり余るほどありますね。

 

温泉は天然かけ流しを楽しめる!

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寂れた温泉街ではありますが、温泉の質は本物です。

天然かけ流し温泉とは、地球から湧き出している源泉に加水も加温も、なんの手も加えずに、そのまま浴槽に流された温泉のことを指します。

湯治客もいるほど、その効能は大きいそう。温泉好きの方にとっては、一度は訪れたい場所でしょう。

 

天人峡にある「羽衣伝説」

天人峡には、「羽衣伝説」というものがあります。

例えば上で紹介した涙岩もその伝説の一部。羽衣の滝も伝説の一部。美しい土地にまつわる、壮大な伝説です。

伝説それ自体は、率直に言ってただの作り話とも言えます。
ただ、観光客を集める”話題作り”としては十分。

天人峡温泉が人里離れたトンネルの向こう側にある秘境なので、「羽衣伝説」も神秘的な話として良いと思います。

 

登山の出発地、休憩地、目的地として

天人峡温泉は周りを山に囲まれた秘境。だから、登山への出発地、休憩地、目的地としても良い立地を誇っています。

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トムラウシってどこかで聞いたことあるなと思ったら、数年前の冬に遭難者が多発した山ですね。汗

いずれにせよ、登山する前や後に天然かけ流し温泉につかれるとなると、とても良い場所ではないでしょうか。

 

湧水が豊富でうまい

天人峡付近の湧水は、とてもおいしいです。

大雪山から流れてくる湧水は、豊富。豊富すぎて天人峡温泉や旭岳温泉のある東川町の水道水は、すべてこの湧水”だけ”というほど。

天人峡付近でも水は得られるようですが、大雪山国立公園の入口辺り(忠別ダム湖の近く)に湧水をガンガン汲める場所があります。

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水の勢い強すぎてズボン濡れちゃいますよ。笑

 

意外と立地の良い秘境

観光資源たっぷりな天人峡温泉ですが、寂れてるってことは立地も悪いんじゃない?そう思うでしょう。

でも、天人峡温泉は意外に立地は良いんですよ。

北海道第二の都市、旭川から車で1時間。観光スポットとしても名高い美瑛や富良野からも、同じくらいの時間で行けます。

旭川空港からも1時間もかからない。

東京から箱根まで1時間以上車でかかるということを考えれば、都市からの距離は十分近い。秘境の割りには、エッと驚いてしまう近さです。

また、2010年の崩落以後道路がきれいに復旧されたので、ドライブにも最高の場所。車の数も少ないので、走っているとめちゃくちゃ気持ち良いですよ。

秘境=行きにくい場所と思われがちですが、天人峡温泉に限っては、行きやすい場所でしょう。

 

雑感:天人峡温泉が人気スポットになるには?

個人的に天人峡温泉に興味を持ったのは、観光資源がたくさんあるにも関わらず、めちゃくちゃ寂れてしまっているから。もっと人が集まっても良い場所だと思うからです。

ただし、今のままではたしかに人を集めるのは厳しいでしょう。

専門家でもなんでもないですが、雑感として改善すべき点をあげていきたいと思います。そしてこれは、全国の寂れた温泉地にも通ずることだと思います。

建物が古臭い

まず改善すべきは昭和の香り漂う古臭い建築物。

別に古い=悪いと言おうとしてるのではありません。古い宿でも、良いところはたくさんあります。

しかし、天人峡温泉の建物は、ただ古いだけのように見えてしまう。

外見が古ぼけて見えるたから口コミを調べてみると、どうも古さを強みに出せていないようです。つまり、「古めかしくて、なんだか怖い」という評価が多いのです。

「ホテル天人閣」というところなんかは巨大ホテルなので、建て替えは厳しいでしょう。しかし、古いなりに良さを出すか、リフォームをしないと、客足は遠のいていくばかりじゃないかと思います。

既に経費削減のため、ゲーム機や一部の浴槽、電気などを止めている状況。このまま放っておけば、ジリ貧になりますね。

せめて清潔さにおいては、文句を言わせないようにしたいところ。潰れた2軒の宿に関してみると、潰れる前からもう汚くて怪しかったようですよ。

自然災害が多すぎる

天人峡について調べると、自然災害で道路が崩落とかが近年相次いでいます。

自然災害は仕方のないことではありますが、ある程度は防げるというのが僕の考え。起こっても、ちょっと手を入れればすぐに復旧できるような仕組み作り、整備が必要でしょう。

実際にどうすれば良い??と聞かれれば僕は答えられない、無責任な意見ですが、自然災害を最小限に食い止める努力はすべきです。その意味で、綺麗になった天人峡温泉への道道は良さげ。

すぐ土砂崩れ起こるようなところだと、観光客側も不安になってしまいますから。

羽衣の滝などへの道は早急に整備すべき

以前はあった羽衣の滝への遊歩道も、2015年現在は復旧のめどが立たない状態です。

どうも国立公園内ということで、国が負担するのか北海道が負担するのか揉めてるということらしいです。

アホか!!と言いたいですね。

天人峡どころか、全国的にも珍しい景観を楽しめる「羽衣の滝」ですよ。誰が負担とかで嫌々言ってる場合ではなく、我先にと復旧を手伝うべきじゃないんですか?

うまくいけば海外にもアピールできる景観ですよ。非常にもったいない。

今は登山道が一応ありますが、やはり近くまで楽に行ける遊歩道の有無は、観光客を呼び込むには重要な要素です。

話題性に欠ける

天人峡温泉は、話題性に欠けると思います。

天人峡自体のことを言ってるのではありません。そこにある宿の話題性です。

おいしいごはんが食べれる」とか「天然かけ流し温泉」とか、もちろんアピールポイントは今でもあります。しかし、「それなら近くの旭岳温泉に行ってしまうわ!!」ってなるわけですね。旭岳温泉の宿に比べると、全然見劣りしてますもん。旭岳温泉には、旭岳へのロープウェイもすぐ近くにあるからね。

場所の素質はあるのだから、ここは思い切って話題性を持った宿にすべし。

例えばリスクは高いけど、超高級温泉宿が天人峡にあれば、めちゃくちゃ気になりますよ。部屋にある露天風呂からは川沿いの景色を一望できる…とか、良いんじゃないかなあ。世界中のセレブ相手に宿を提供するのです。星野リゾートさんとか、いかがですか?笑

しかし現実的に資金がなさそうなことを考えると、海外からのツアー客を呼び込む策を考えるとかも良さそう。

もしくは廃墟を整備するなどして、日本一の肝試しスポットを作り出すとか。

山奥にある無人旅館、従業員はロボットのみの温泉宿なんかも面白そう。あ、温泉の整備大変かな。笑 秘境とハイテクというコラボは、ある意味珍しくて話題になりそうです。

泊まるところにも話題性があれば、天人峡には一気に人が集まりそう。

で、お金はどこから出すのか?

お金、これが一番問題?

どう考えたって、天人峡温泉の温泉宿や北海道にお金がありそうじゃない。お金があったら既にテーマパーク跡ができていますよ。笑

僕の考えでは、しっかりした改善のコンセプトがあれば、国から整備費をもらったり、クラウドファンディングをしてみることもできそうです。が、お金を出しても元をとれそうじゃないから、お金もないんじゃないでしょうか。

どっかの企業が天人峡を見込んで斬新な宿を作ったりすれば良いのですが、少なくとも、羽衣の滝への遊歩道が整備されなきゃ話はないですね。笑

しかし場所は良いので、コンセプト勝負、お金は後からついてくるって感じかな。

 

わたぽんのまとめ的なにか

ふと訪れた天人峡温泉でしたが、思い入れの深い場所になりました。

正直、今から天人峡温泉へ行って、お泊りしよう!と声を大にしては言えません。男同士での旅とかなら良いですが、家族旅行やカップルには、2015年現在は全くもって向かないですね。

でも、こんなに素晴らしい場所がこのまま忘れ去られてしまうのは、あまりにももったいないです。

ぜひ復旧・改善が進んで、日本有数の人が集まる温泉地となってほしい…。

以上、わたぽんでした。ほなね!



わたぽんの簡単な自己紹介

わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら

ブログ「わたぽんWorld」について

僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!

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プロフィール

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高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでの1年インターンも獲得。現在は卒業し、日本でF1から離れ生活中。 詳しいプロフィールはこちら


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