留学も夢への道も、独りじゃないはずだけど。
こんにちは、イギリスで大学生してるわたぽんです。
イギリスに来てから、以前より心に刺さるようになったものが二つあります。
一つが村上春樹の小説。
中学の時から毎冬読んでます。夏より、冬。イギリスに来てからもその恒例行事は続いており、今冬はまだ手を出していなかった「国境の南、太陽の西」をAmazonで注文しました。普段は羊な気分なんですが、今はラブストーリーを読みたい気分だったので。
で、もう一つが宇多田ヒカルの曲。
iPodに入ってたけど数曲しか聴いてなかった彼女の曲。イギリス来てからヘビロテしてます。
僕がその二つに感化される理由も、また二つあるようです。
一つ目はリズム感。
実はこのブログも、そのリズム感を参考にしてるとこあります。
今回のテーマは二つ目。孤独感、というか絶望感、というか。
両者の作品には、どこか孤独・絶望・哀愁みたいなものを感じる部分があります。孤独というより、「独り」と書いた方がなんかピンと来ます。来ません?来ませんか。
芸術とかさっぱり分からないし、自分が経験したことでないとイマイチ理解できないタイプなのですが、ピンと来るってことは自分が経験してることなんだなと思います。特にイギリスに来てから(来る前もあったけど)。なんなんだろう。
今までイタい奴だって思われたくなかったし、僕も一時的な感覚を書くわけにもいかないなと思ってたんですが、自分を形作る紛れもない要素なので、書いてみます。
独りじゃないけど、楽しいんだけど
時々、ひどく内向的になってしまいます。なんの前触れもなく。例えば開発中の車のシミュレーションがうまくいってホクホクとしてるところに、”そいつ”は急にやってきたりします。
留学生活は、正直興奮に満ち溢れています。楽しい。夢に向かっても、順調とは言えないけれど、まるっきりダメってわけでもない。挑戦の日々を、楽しんでる。そう楽しんでる。その楽しさが突然シャットダウンして、わけのわからない哀愁感が漂いだす。ちゃんと毎回再起動するけれど。少しだけ、そんなバグのような自分の気持ちに嫌気がさします。そしていつ再起動できなくなるか、ちょっと怖さを感じています。心から純粋に楽しめることが少なくなった気がします。まだ子供だと思ってたけど、妙な部分だけ大人になってしまった、みたいな。
せっかくなので宇多田ヒカルの曲を例に出すと、”Travelling”のCメロ部分みたいな。ずっとイケイケだったのに急に、盛り上がる時間に、どうしてか少しだけ不安になる。もっと直接的な曲なら、”Keep Tryin'”の「私」のように。仕事あがりの午後10時、疲れを癒してる時に突然やってくる。
別に孤独の中で頑張っているとは言いません。僕は家族に支えられていますし、多くはないけれど、頑張れよ!と言ってくれる友達がいます。イギリスでは一緒にFormula Studentのマシンを開発し、同じ目標を持ってる仲間がいます。(Sarcasmには疲れるけど。)多くはなくても、それで十分なはず。
でも、僕が僕の夢に対して突き進もうとすればするほど、この感覚は強くなります。まるで一つのテーゼのように。もう今は日本に帰りたいという気持ちもないし、旧友や家族と会えなくて寂しいという感覚もないのですが。なんででしょう、反比例。
以前は村上春樹の小説を読んだとき、登場人物の孤独感を”かっこいい”と思ってました。特に「海辺のカフカ」に登場する15歳のカフカ少年は、14歳の僕にとって、憧れの一つでもありました。イタい子。ハルキストならぬ村上信者と呼んでくださいな。(ファンの方には意味通じるはず…汗)とにかく、僕は孤高の存在だったり、周りとは違う環境で頑張ってる、みたいなことが大好きでした。
しかし現実の僕は、21歳になって、より孤独に貧弱に。現実はひどく惨め。残念です。いくらF1やFormula Studentが忙しさで埋めてくれても、孤独感は息をひそめて、ずっと機会をうかがっています。数少ない獲物を待つ深海魚のように。あるいは人と交わったところで、それが永遠に解消されることはない。
自分だけじゃないよ
一つ大きな救いとも言えるのが、この孤独感は何も、僕だけが抱えているものじゃないはずだということです。多かれ少なかれ、皆含んでいるんじゃないかなと。その孤独感を、何かの行動に昇華している人は多い気がします。
それにほら、村上春樹だって宇多田ヒカルだって、その描写してる。多分僕が分かってないだけで、他にも多くの芸術家方面の人たちは、言葉に書きにくい内面的な思いを、既に昇華させていってるでしょう。
僕の少ない交流関係の中で、今までに一人だけ、この感覚を共有できた人がいました。とても嬉しかった。やりたいことやってるし、目標に向かって突き進んでるし、人生楽しんでる。それでも、たまに変な感覚あるよね、みたいな。ほとんどの人とそんな話できないし、しないけど。
僕らは何も、常に孤独感を感じてるわけではありません。隣り合わせなだけで。ハリーポッター映画全体の内、ハリーがスネイプ先生に怒られてる時間みたいなもの。よく見たら、実際に怒られてるシーンって少ないです。少ないけど、覚えてる。
もしあなたも似た感覚あったら、「あっ、わたぽんもなんだな」とこっそり思っておいてください。誰かに話したところで、「ナンダコイツ」となるだけなので。きっと。
孤独に飲み込まれないように
もう一つ。
自分の中を、少しほぐしてみましょう。
キリキリと張り詰めた糸を緩め、無重力に体を捧げる。
例えば紅茶を用意しよう。マグカップ一杯でいい。淹れたてイングリッシュブレックファスト。グリーンティーも良いかもしれない。そこにいくらかのクッキー。しっとり系で、チョコチップなんてついてたらさらに良い。朝であれば、バターたっぷりのクロワッサンとマイルドなチェダーチーズ、そこにアールグレイをショットグラスほどのミルクと一緒に用意できれば。ちょっと落ち着くBGMなんてかけたりしてみて。他は何もしない。人に頼るのもいいけど、こういう方法もたまには良い。
そしてしばらくしたら、また立ち上がるのです。いつも通り走り出す。何事もなかったかのように。
もし潰されそうになったらサウサンプトンへお越しください。おいしい紅茶、用意しています。(好みはTwiningのEnglish BreakfastとT2のVanilla Flavoured Teaです。)
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わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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わたぽんさん、休暇はノンビリできましたか?
宇多田ヒカルの曲、ほぼ全部好きですが
Deep Liverが一番思い出深いです。
WiltshireのChippenhamという町で暮らしていた時、
嫌な事があると、家族が帰ってくる夕方までず~っと聞いていました。
歌詞の「どこでも受け入れられようとしなくていいよ」がツボで。
当時二十歳そこそこの彼女に、随分救われたものです。
なんとかかんとか気分転換して必死に生きていたんだな、と
懐かしいけれど、今となっては良い思い出・・・とは今も思っていません。
得難い貴重な経験ではありました。
わたぽんさんにとって、2017年も良い年でありますように。