理由もなく好きなことって何者なのか
大学2年生になってからというもの、なにかとFormula Studentが僕の生活の中心になっています。
講義中、頭の中で僕たちの車のデザインを考えることも頻繁に。1秒もFormula Studentについて頭を巡らせなかった講義なんてありません。そうしてると、だんだん課題等に圧迫されてきます。
「なんでそんなにFormula Societyばっかしてんねん。笑」
僕がやってるのは”Formula Student”だと、今まで201回は教えてきたはずなのに、未だに“Formula Society”と言う友達。突然尋ねてきました。
うーん、なんでやろ。なんて実は考えてなくて、即答で、“Because I love it!”
まるで何かを演じているかのような感情の込めよう、そして謎の手の動きとともに。
僕は好きだから、特に理由を思いつけるわけじゃないけど好きだから、レースカーを作る活動に精を出しています。意識してるわけじゃなくて、自然とそうなっているというか。こういう「理由もなく好きなこと」ってなんなんでしょう。
好きな理由
なんだか分からないけど好きって、結構難しいと思います。まっすぐ正面から体当たりしても、簡単に身を許してくれないです。でも、逆のことなら案外とっつきやすい。
〇〇だから、好き。
あると思います、誰にでも。
このビール好きやわ、うまいから。
この本読みやすくて好き。
こういうやつ。まっ、いいですよね。好きなものを好きと言うのは、意外と難しかったりもするので。
でも理由があるって、なんか引っかかります。もしそのビールがおいしくなかったら?、その本が例えば読みやすくなかったらどうなの?
恋愛に例えると分かりやすいと思います。
簡潔に言えば、好きな人をなぜ好きか言える人って、なんか気持ち悪くないですか?僕は苦笑いしつつ心の底で思います。「なんやこいつ。」
好きな理由、寄り添ってる理由なんてものがあれば、特定の条件が崩れた瞬間、今までどうやって保持してたのか不思議なほどに関係は脆くなってしまいます。寂しさからくる恋愛とか、良い例。
よく分からないけど好きなこと、惹かれるものというのは、誤解を恐れずに言うなら、その逆。逆の逆で元通り。ちょっとやそっと変わったところで、簡単に興味を失わないようなもの。あるいは気を抜いた時に、吸い寄せられること。座ると二度と立ち上がれない、ふかふかのソファーのように。
僕にとってレースやFormula Studentというのは、そういう類のものです。腰かけてしまうと、そう簡単には立ち上がれません。例えば甲高い綺麗なエンジン音を聴いた時には、訳もなく体がリラックスします。(そもそも綺麗なエンジン音とは何者やと思う方もいそうですが…。なんなんでしょう。)
理由のいらない「好き」を周りに置く
理由が特にあるわけじゃないけど、なんやかんや好きなもの、こと、まあ人でもいいけど。そういうのを自分の周りに置いていくことで、自然と落ち着くと思います。
「理由がハッキリとしてる好き」は、正直ずっと接しているとキツイ。そういうのは、どちらかというと遠くへ置いておいた方がいい。
「特に理由はないけど好き」なものは、逆にリラックスできます。だから周りに置いていく。日常で何か嫌なことがあっても、簡単に立ち直ることができる。
僕も周りを見渡すと、理由をハッキリとは言えないけど好きなもので溢れています。というか、溢れるようにしています。休日につけるイギリス海軍カラーの時計、メルセデスのF1マシンのポスター、わざわざイギリスまで持ってきた本、タンスの中でひっそりとしてる黒のピーコート。
(この日は朝から晴れてて、好きに身をくるんでた)
全てが全て、理想通りに揃えられてるってわけじゃないけど、そういうものを見つける度に、思わず微笑んでしまいます。理由がハッキリしないけど好きなものは、たいてい、一目惚れでしたね。そういや、F1も一目惚れやったなあ。
例えば店に行って値段に迷った時、僕の場合、二つのケースがあります。
一つは必要か必要じゃないかを考えてしまうケース。
ああ、良きかな…とは思いつつも、どこか冷めてて、現実的な思考回路になってるような時。迷ってる対象に理由をつけてる時は、たいてい商品棚に戻すようにしています。
もう一つが、完全に惹かれて、自分でもそれに気づいてるけど、ちょっと高かったりして渋ってるケース。
○○が良いから、とかじゃなくて、なんかよく分からんけどめっちゃいいやん!!!ってやつ。誰の影響でもなく、自分の内側から来てるなにか。正直、抑えることなんて不可能だけど、お金というブレーキが、かろうじて引き留めてるような状態。こういう時は、なるべく買うようにしています。たいてい、間違わないですね。間違っても、自分の中で後でなるほどと思う時が来ます。
なんて”物”であれば結構自分の中でもハッキリできるのに、他人との関係や恋愛事となると途端に不器用になるの、どうにかしたいです。
ヒントは子供の頃にあるかもしれない
恋愛事にはこれ以上突っ込まず、最近気づいて面白かったことについて。
前回の記事で紹介したように、サウサンプトン大学の二回生の講義に、Astronautics(宇宙学、宇宙工学)があります。
最初の方は、もうちんぷんかんぷん。知らない単語ばっかりで、講義中何のこと言ってるかイマイチ分かっていないということが、多々ありました。で、講義後にアップされるスライドを、専門用語調べつつ読んでいく。と、どこか馴染みのある光景によく遭遇しました。
「そういや、小学校の頃、宇宙をテーマにした漫画よく読んでたな。」
「夏の星座とか覚えていたな」
それこそ、「あれがデネブ アルタイル ベガ」と指さしてる少年は僕でした。覚えて空を見上げてくれるお相手がいたかは、定かではありませんが。(この講義始まってから、しきりに「君の知らない物語」聴いてます。)
Formula Studentのミーティングの帰り道、だいたい夜11時とか12時でもちろん空は真っ暗なんですが、たまーに星で溢れかえってる日があります。サウサンプトンでは、星がよく見えるんです。明かりが少ないから。田舎とか言わないの。
そういう時、街頭がまぶしくない所で立ち止まって、ぼーっと空を眺めてることがあります。「ああ、好きやったな、こういうの。あれがオリオン座か。北極星はあれやっけな?」なんて思いながら。
なんだか、久しぶりに好きだったことを思い出して、一人の夜の帰り道が楽しみになりました。
思えば、F1も同じ感じ。
F1を見始めたのは高校1年生の春からでしたが、車自体は元々大好きでした。グランツーリスモ2はフルコンプ3回したし、年賀ハガキにはスカイラインGT-R R34のような車を描いてる子供だったので。ヘタクソと言われその後一生描いてませんけど。
他にも、オタクかよ、ブンブーンなんて馬鹿にされるのが嫌で、小学校高学年ぐらいからは離れてましたが。高校に入って、そういう雑音も少なくなってきて、元に戻ったという感じです。
子供の頃、なんかよく分からないけど好きだったこと。そういうのを掘り返してみると、案外リラックスする自分を見れるかもしれません。
わたぽんのまとめ的なにか
理由をハッキリ言えないけど、ずっと好きなもの。好きだったもの。手に取ってみてください。引き出しの奥から引っ張り出してみてください。そして、大切にしようって思えればいいですね。
もし今すぐになければ、一目惚れを信じてみてください。とんでもないゲテモノを引いてしまうこともありますが、だんだん”一目惚れの精度”も上がっていくと思います。そして、その一目惚れしたもの、あるいは人でもいいんですけど、それだけじゃなくて、その時の自分の気持ちも忘れないように。
言うときますが、あまり人に応用しないでくださいね。僕、特に恋愛経験とか少ないですから、人に関しては保証しませんよ。知らないですよ。
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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はじめまして。
今年サウサンプトンソレント大学に入学したもねと申します。
イギリス生活のことなど今更ネット検索していたらわたぽんさんのブログにたどり着きました。
Twitterもフォローさせていただきました!
色々と参考にさせていただきます
はじめまして。
ソレントなんですね!僕もフォロバしときました。よろしくお願いします。