イギリスの大学に進学することを考えだしたときから、サウサンプトン大学合格までのことを書いてみる – その(2) –

– その(1)の振り返り –

突然として思い立った、イギリスの大学へ行くという道。何が何だか分からないけど、僕はとりあえず動き出してみた。とても曖昧な思いだったけど、どんどん大きく、誰にも止められないようになってゆく。

「イギリスの大学に進学することを考えだしたときから、サウサンプトン大学合格までのことを書いてみる – その(1) -」

 

大学選びにかけた時間

– 2011年、冬。
京都の冬は底冷えが厳しい。それは家の中でも同じで、こたつの中の足は温くても、パソコンを打つ手はあやうく凍傷になるのではと思うほど冷たくなる。でもその手を休めようとは思わない。僕はあまりにも、イギリスの大学について知らなかったからです。

まずはどの大学が良いのかを考えてみました。選び出す基準は以下の通り。

・F1と関わりがある
・機械工学、航空力学系に強い
・できれば評判が良く、大学ランキングでも上位

ようは、F1のエンジニアになるために学べる場所、コネクションがあれば、それが全てだったのです。分かりやすいようで、難しい。まず、F1と大学のコネクションなんて、どうやって探したらいいのか分かりません。僕は現役のF1エンジニアを日本語だけでなく、今以上につたない英語でも検索し、彼らの出身大学を暴きだしていきました。
同時に工学系での一般的な評判・評価等と兼ね合わせるといくつか答えが出てきます。そこには今在籍しているサウサンプトン大学の他に、有名なケンブリッジやインペリアルカレッジロンドン、モータースポーツ学部のあるオックスフォードブルックス大学などがありました。

ではどうすればそれらの大学へ行けるのか?

この問いに答えるのはシンプルなようで、僕は複雑に考えてしまいました。その時考えられた道を整理してみましょう。

(1) 高校卒業後、Foundation Courseを経由して、イギリスの大学へ進学する。
(2) 高校卒業後、イギリスの高校へ2年間通いA Levelという試験でハイスコアを取り、イギリスの大学へ進学。
(3) いっそのこと高校中退し、イギリスの高校あたりへ編入してしまう。
(4) 立命館大学へ進学し、2回生終了あたりでイギリスの大学へ再入学。
(5) 親が反対したらどうしよう。

だいたいこんな感じです。Foundation Courseへ1年間通ってから大学学部へ進学するのが最も現実的だったのですが、イギリスの大学入試の代わりのテスト、A Levelを受けたい、という気持ちも強かったです。なぜならその(1)にも書いたように、ケンブリッジ大学などの超一流大学は、Foundation Courseからの入学を原則認めていなかったからです。

そもそも、F1のエンジニアになりたいと思ったのは良いものの、どの分野かをしっかり決めかねていたのも問題でした。正直、F1レースの現場で働けれれば何学んでもいいなと思っていたぐらいだったので。だからどの分野が将来的に重要になってくるか、どれが最も自分にあっていそうかも、ネットで毎日のように調べ、本屋では過去のF1の本から傾向を読み取り、ベッドの上で考えていました。

ここで調べるときのアドバイスとしてですが、英語で調べるのは最低条件だと思ってください。情報量が格段に違います。僕はGoogleだけでなく、海外の学生間のチャットを覗いて大学の噂やF1と大学との関係を探ってみたり、時にはイギリス版知恵袋で自ら質問したりしていました。電子辞書を片手に、特攻していくのです。

しかし、自分で調べるのにも限界がある。知識・情報はどんどんたまっていっても、自信を持ってこれだと言えない。それどころか、知らない誰かの書いた噂に流されてはいないだろうかと不安になるときも。僕は限界を感じていました。
まだ誰にも言いたくない。まだ早い。その思いが僕を殻の中に閉じ込めていたのですが、僕は意を決し、イギリスの大学院に進学経験のある英語の先生に打ち明けてみることにしました。

 

先生との会話で、現実味をおびてゆく。

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いつも通り英語のチェックでノート提出。その最後の一文に、僕は英語で付け足しました。「イギリスの大学に行きたいと思うのですが、なにかアドバイスとかってありますか?」

テストの時より緊張する。そんなノート提出。翌日か翌々日にノートが返ってきた時は、周りの友達に決して見られないよう、素早くチェックしました。でも書いてあったのは、当たり障りのないようなこと。正直、ネットで調べて分かることでした。
でも僕が聞きたいことはそんなんじゃない。もっと深い、経験者にしか分からないようなことをしっかりと話したい。1、2週間がたった頃、僕はまたノートの最後に書きました。

イギリスの大学へ進学を考えているのですが、近いうちにお話しできますか?

こうして土曜日の午後。友達はみんな帰り静けさの中にある教員室で、僕は初めて、イギリス進学のことを自分の口にしました。
(立命館高校では土曜日の午前は授業でした。またその英語の先生の机は小教員室にあったので、他の場所よりも話しやすい環境だったのです。)

トントン。失礼しまーす。

いつも通り教員室へ入ろうとするも、やはり顔がこわばっている。それを緩めるかのように、教員室の暑すぎる暖房が僕を温めてくれる。先生の横に座り、何から話せばいいのか混乱してたところ、先生の方から切り出しました。

先生「イギリスの大学に行きたいんやって?」

そこから先生の質問攻めにあい、僕はどうしてもイギリスの大学へ行きたいということ、毎日調べまくったこと、でも道がはっきり見えず悶々としていること、全てを隠さず話しました。特にF1のエンジニアになりたくて…と言うときは恥ずかしかったですね。恥ずかしかったですが、胸の内に隠していたことを全て出し切ったので、すっきり、そして少し得意げな僕がいました。先生には、まさか本気だとは思ってなかったと言われる始末でしたが。

先生との会話で、特に大きな情報を得たわけではありません。第一、先生がイギリスの大学院に行ったときとは時代が違い、大学も全く違うところだったので、その点では参考にならなかったのです。ただし、3つの大きなアドバイスがありました。

1つ目はロンドンは物価が高い、ということ。
ご存じのとおり、イギリスの首都はロンドン。巨大すぎる都市ゆえ、物価が他の地域の2倍すると言われています。

2つ目はA levelを受けてハイスコアを取り、イギリスの超一流大学へ進学するというのは、あまりに壮大すぎるということ。
Foundation Courseからでもイギリストップ10の大学に入れる中、わざわざそこまでしてケンブリッジ等に行きたいかと、尋ねられました。たしかに、そう聞かれると躊躇してしまう僕。当時の状態からケンブリッジに行こうと思えば、相当な努力も必要でしたし、第一お金も余計にかかります。ケンブリッジやインペリアルカレッジにこだわる必要はないのです。

そして3つ目は、これまでとこれからの高校生活が、合否に大きく関わってくるということ。
高校の成績は当時、関連する科目だけ、つまり僕の場合は数学、物理、英語だけ5ならいいや~と思っていたのですが、それプラス評定平均も見られるとアドバイスされました。言いかえると、大嫌いな国語やめんどうな生物等で2や3を取ると、マイナス評価になるかもしれない、ということです。

この話しをしたのが1月終わり頃。期末テストまではまだ1カ月近くある。

学年末の成績が最も響くよ。

先生のアドバイスが頭の中で響いていました。やるしかない。早速高校入学から今までの全テストの点数を引っ張り出す。そして計算。学年はじめにもらった成績の付け方の冊子を探し出し、期末で何点取れば5段階評定の5、もしくは4を取れるか調べる。僕はそれまでの自分の頑張りに感謝し、同時になぜ必死に勉強してなかったのかと怒った。最も大事な数学Ⅰで、100点を取っても5は無理なことに気付いたのでした。でも過去を恨んだってしょうがない。だから全ての教科で、その時できた最大限の努力をして、テストに挑みました。

振り返ると、あの時の僕は気持ち悪かったです。(今も気持ち悪いなんて言わないでください。)テスト1週間前なんてテスト勉強か寝るか。疲れたらちょっと友達と喋って一服ぐらい。いつも1回しかしない問題集を3回も解き直し、毎日必死で生きていました。途中で発刊されたF1速報(雑誌)にはF1チームの特集や、エンジニアになる方法も。でもこれを読んでいてはテストに響くと思い、学校のロッカーにF1の雑誌も放り込んで、家に読めないようにしました。テストの日はまるで、1994年のサンマリノGPでのアイルトン・セナのよう。テスト開始5分前なんかは、本当にポプラの綿がふわふわと飛んでいくのが見えてるかのような、そんな心境でした。

 

最も言いにくかった、親への一言。

そういえば先生にもう一つ言われたことがありました。

親にまだ言ってへんの??早く言った方がいいよそりゃ。最終的にお金払ってもらって送り出してくれるのは親やねんから。

なるほど、なんとも説得力があります。まさにその通り。親にも言わないといけないのか…何度もえーっと言う僕をしり目に、先生はこのような言葉をまくしたてていました。しょうがないから親にも報告です。(必ず最初に伝えるようにしましょうね。汗)

まあ今まで言ってなかったのをそんなすぐに言えるわけもないですから、タイミングを見はらって数日後、親にぼそりとつぶやいてみました。

「イギリスの大学行きたいと思てるんやけど…」

「いきなり何言うてんねや。頭冷やし。笑」

もうこんな感じで相手にされない。でもとりあえず言ったからいいや~と僕は気にしませんでした。その後も戦闘は続いていきますが、それはまた後で…

 

その(3)に続く…かも。

【その(3)の予告】

テストが終わり、一時的に解放感に浸る。3月を迎え、温かい春が迎えてくれる…

・イギリス留学フェアに行ってみた
・海外研修のこと

またその内書きます。更新通知は今のところ、TwitterFacebookでしてますので、お楽しみに!

以上、わたぽんでした。ほなね!



わたぽんの簡単な自己紹介

わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら

ブログ「わたぽんWorld」について

僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!

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プロフィール

わたぽん(@wataponf1_uk)

高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでの1年インターンも獲得。現在は卒業し、日本でF1から離れ生活中。 詳しいプロフィールはこちら


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