海外進学はエリートが選べる選択肢、自分には関係ないと思ってた。
イギリスの大学なんかに行こうと思ったのは、いつからやったかな…?
最近イギリスのことを考え始めた頃をよく思い出しています。
イギリスの大学へ進学するって、そういえば当たり前の選択ではありません。少なくとも僕の周りでは異質で、突飛なことでした。
言われてみれば、他の海外大学進学生って、どこからその選択肢を引っ張り出してきたんやろう?と思うこともしばしば。みんな当たり前のような顔してるけど、やっぱりまだまだ、当たり前じゃない。
みんなどうして、海外なんて考え始めたの?
海外進学のきっかけって色々。
僕の周りでよく聞くものの一つに、「周りの人のささいな一言から」という理由があります。
「君は海外の方が合ってると思うよ。」みたいに、何気なく言われた一言が、自分の中になぜか引っかかる。そうして調べ、考えていく内に、その魅力に気づいていく。そしていつか、立派な選択肢の一つとなる。そんな感じ。
もしくは、その最初の一言がネット上だったりって場合もあります。僕の友達がそうですし、なんなら僕だってネットが元凶(…じゃなくてきっかけ)。
昔からずっと考えてたとか、インターナショナルスクールに通っていたとか、そういう人ばかりじゃないんだと、聞くたびにほっとします。というか、過去の自分に言って気を和ませてやりたい。
だって世間に広く知れ渡るのは、やっぱりどうしてもハーバード大学だとか、ケンブリッジだとか、そういう話になります。そしてそれらの大学へ行く人のプロフィールを読むと、やっぱり元から優秀であったり、なんだか化け物みたいなストーリーが載っていたりする。○○オリンピックで競った相手が…とか、とてもじゃないけど、僕も僕も!とおいそれとは言えません。
でも実際は、超優秀ストーリーばっかりじゃなくて、なんの変哲もないきっかけだったり、というかむしろ日常の中にこそきっかけがあったりする。“もしかしたら明日にでも起こりそうなきっかけストーリー”も、ちゃんとある。
だから肩ひじ張らず、座布団でもしいて、あぐらかいて。
そうそう、堅い話に入りきる前に、少し個人的な話を。
ネットがきっかけだった
僕がイギリスの大学を考え始めたきっかけは、インターネットでした。
2011年の夏。
F1のエンジニアになりたいな~と、ぼんやりと思っていた僕は、案の定「どうやったらF1のエンジニアになれるのか?」について考えていました。しかし周りにF1関係者はいないし、ググるしかない。
そうやって毎日毎日、どの方法が一番良いのかなと調べていると、腹が立つほどにYahoo!知恵袋が引っかかります。
Yahoo!知恵袋はネットリテラシーの低い当時の僕でも分かる、信用に値しないサイト。でも大した特技もないぼけーっとした高校生が、どうやったらF1チームなどという優秀なエンジニア集団の一員になれるのか?もうそれはそれは藁にも縋る思いで検索してたので、そういうサイトもしらみつぶしに見ていきました。多分、2011年当時に出ていたF1エンジニアになるには?関連の質問は、全部見たと自負しています。(10個ぐらいしかない。)
東大へ行けだの、ホンダへ行けだの、そういう回答がほとんど。正直パッとしないっていうか、誰もが言えそうな想像の答えでしかなく、ウーンウーンと唸りながら読み進める。まあ、Yahoo!知恵袋に経験者の答えを求めてるのが間違いなんですが…。
イギリスの大学という文字は、そんな回答の一部に収められていました。
最初こそ、「んなアホな」と通りすぎていたのですが、なぜかそれが一番現実的な方法な気がしてきました。実際にF1がやりたくてイギリスへ渡ったという話はちらほらと耳にした覚えがあったし、もしかしたらと。
(今でも質問投稿サイトで見つけられた似た回答。でも記憶に残ってる回答はパッと見つからなかった…。)
そこで意を決して、イギリスの大学へ進学する方法を調べ出してみました。すると、要件的に案外行けそうじゃないか!と。少なくとも僕にとって、センター試験で良い点数を取れと言われるよりは簡単そうに思いました。それに、面白そう。
IELTS5.5と、学校の成績という点が、果たしてどれくらいのレベルを求められているのかは分かりませんでしたが。
そこで学校の英語の先生に聞いてみました。
「IELTSって知ってますか? IELTS5.5ってどれくらい難しいんですか?」と。
その答えが、僕にとって不可能ではなさそうなものでした。時期もまだ高校一年。学校の成績だけは相変わらず「良ければ良いほど良い」という曖昧な答えしか知りませんでしたが、学年末の試験にも今からなら備えられる。自己アピールに書けるような課外活動の経験もその時まで皆無に等しかったけれど、先生に聞いてみれば学校のプログラムに結構色々あるやん、と。
そうして、本格的にイギリスの大学への進学を検討していくことになりました。
そもそも考えられなかった、海外という選択。
僕の中で一番苦しんだというか、挑戦に踏み切る足かせになってしまったのは、「イギリスの大学なんて行けるもんなん?」という超初歩的な疑問でした。それは可能か?不可能か?という質問よりも、僕がイギリスの大学へ行くなんて許されているのか?という尋ね方の方が正しかったです。
東大京大をトップとした日本の大学システムついてばかり聞かされ、考えてきたそれまでの生活。日本の大企業に就職できれば御の字で、就職難の今の時代、大学ミスればかなりヤバいよ、というような定説。
イギリスなんて、短期留学でお邪魔できればバンザイバンザーイといったところ。その短期留学でさえ、当時の僕が行くようなとこじゃないなーと思ってたほどです。英語も苦手だったので。
そこにイギリスの大学について聞かされたって、なんにも分かりはしない。
F1を通して自分事として聞かされ、初めて「そういえば…」と疑問に思ったものです。
そう書いていて思い出したのが、最近どこかで読んだ田舎と都会での大学進学の差についての記事。そこで書かれていたのは、田舎では大学進学できる・できないという質問以前に、大学進学という選択肢自体を考えるかどうかという壁があるということ。つまり、田舎で低学歴の親の元に生まれると、そもそも大学へ行くなどということも考えなければ、ふと話に聞いたところで自分の行くようなところじゃないと考えてしまうということ。
これって、海外大学進学でも似てるんじゃないかと思います。
「海外の大学へ行く」
別にそれがイギリスであろうとアメリカであろうと、あるいはカザフスタンであっても構わないんですが、その選択肢自体がまず頭の中にない。
周りは東大が一番だと言い、企業は東大生を重宝する。というか日本にいるのだから、日本の大学へ行くのが当たり前でありそうすべきものだというように教わる。海外を選択肢として選べるのは、日本では事足りない超優秀エリートのみだと。そしてお金だってかかると。僕は思えば、ケンブリッジやオックスフォード大学での高い学費についてさえ知りませんでした。
別にそれが完全に間違った環境のせいだとは言えないんですが。
日本という、一つの大きな文化圏において、多くの物事は足ります。海外の大学へ行かなくたって、十分良い将来が待っている、はず。国内だけの進学を考えるのは、ある意味自然なこと。自然だからこそ、余計にやっかいでした。
海外を選択肢として捉えられるか?
僕はたまたま、イギリス進学という選択を自分事として捉える機会がありました。それは運か?教育の結果か?というと、やっぱり運要素が強かったと思っています。たまたまF1を見て、自発的にイギリスに行きたいとなった。それから色々知っていった。
もちろん教育というか、生きてきた環境の影響もあったでしょう。それでもまだまだ、僕の周りでは海外の大学なぞ異世界だという空気は強かったです。
「海外を選択肢の一つとして考えられるか?」
これは大学進学に限らず、多くのことに言えるとも思います。
ボーっと進路について考えている時に、海外の大学に行くのはどうか? – 例えばそう考える人、機会が増えるだけでも大きな違いをもたらすでしょう。
海外の大学が優れているから、海外進学を考えるべきだと言ってるわけではありません。
日本にも、それ以外の国にも、良い大学、悪い大学があります。国それぞれ、大学それぞれ、みんな特色があり、違う。もしかしたら日本では出来損ないの人が他国では大活躍できたり、日本の大学にうまくフィットしなかった人も、実は他国の大学で輝けるようになるかもしれません。ストレスなく過ごせるようになるかもしれません。それは大学の優秀さだけじゃなくて、その国の環境、その大学の空気、生活環境…重要なことは進路指導でおざなりにされがちなことだったりもします。
自分に合った選択が、いつも日本国内にあるとは限りません。
海外大学も選択肢に入れるということは、自分に合った場所が見つかる可能性だって増やしているのです。
海外を当たり前の選択肢の一つとして考えるには、どうすればいいのか?
そのためには、
- そもそも全く頭にない人
- 自分には関係ない・不可能だと思っている人
上記のような人を、
- 海外の大学に行くって方法もあるんや。
- 自分に合ったところに行けるかもしれない
と考えられるようにできればいいよなーと思ってます。簡単に聞こえるけど、多分人生かけても解決できないような問題。
当たり前じゃないものを当たり前にするのって、本当に難しい。
例えば最初の方に僕が書いた、「雑誌で見た覚えがあるものは、化け物ストーリーばかり。」
この表現は、誇張とかではありません。
当時まだテレビや新聞、雑誌なんかから得る情報の方が多かった時代に、そういうマスメディアで取り扱われるのは映える話ばかり。それも留学マニアとかじゃないんですから、わざわざ留学の専門誌を見たりもしません。時々出てくる留学話を見ても、壮大な話を前に、それを自分事のようには捉えられませんでした。「僕は関係ない」と、無意識シャットダウン。当たり前は無意識に食い込んでいます。
しかし実際は、海外にも僕が一日20時間勉強しなくても入れるような大学もあれば、目も当てられないような底辺校もある。思わずハッと息を飲むようなキャンパスを持つ大学があり、お金をほとんどかけずに進学できる大学がある。気になる分野や文化について調べると、日本はベストな場所じゃなかったりする。逆にイギリスに来てから、日本にだって良い大学あるやん?なんて海外生に言われる。
最近はその点、ネットの普及もありマシにはなってきてるんじゃないかなーとも思ったり。ちゃんと意識すれば、情報は入ってくるようにもなってきました。あるいはそれも、自分が海外大学進学をして初めて、情報が入ってきただけだったりして。
能動的に動けば情報は入るものの、受動的に過ごせば”当たり前の選択肢”は、依然変わってないように思います。
わたぽんのまとめ的なにか
関連したテーマのものとして、僕は夏に「留学フェローシップ」という活動に参加することにしました。
ウェブサイトに載っている言葉をそのまま引用すれば、
我々は留学という切り口を通して、世界に通じる学びを提供します。それは単一の答えを求める従来の日本の教育と異なり不確実な世界を生き抜くための「主体的に生きる力」を育む学びです。
というもの。
僕が関わるのはその中のキャラバン隊という活動。
全国各地の高校等を周り、プレゼンやワークショップ、Q&A等を通じて海外の大学にいる人との関わりを増やすこと。海外の大学について広めること。それをきっかけに主体的な選択について考えてもらうこと。それも、訪れるのは情報の溢れる首都圏よりも、手に入りにくい都心から離れた地域が中心。
こういう活動を通して、もしかしたら当たり前が変わる人がいるかもしれません。あるいは誰かにとって、何か一つのきっかけになればなと。
そしてこれを、これまで受けてきたたくさんの周りからの助けや支えへの、僕なりのバトンパスの一環として。
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
Comment
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こんにちは。初めまして(^^)
わたぽんさんのブログを見ていたらなんだか勇気をもらえたのでコメントさせてください!
まずF1って?ってゆう自分が
わたしの友人にF1チームのメカニックとして働いている人がいるのですが
去年パスを貰えてパドックだったり働いている現場を見て
いろんな国々の人々がエンジニアだったりケータリングだったり
通訳だったり、、
自分の得意な分野を生かしてチームを支えるために本当に一生懸命に、でも楽しく(日本の企業にはまずない雰囲気!)
働いている姿を見て自分はなんて狭い世界で生きているのだろう。
もっともっと世界が見たい!と思うようになりました。
ほんとにとっても良い機会を友人からもらったと思っています。
でも!!そんな素敵な素晴らしい場所にわたぽんさんは立っているのですよね!
私はわたぽんさんみたいにこれなら負けない!とゆう強みはまだまだないですが自分を信じて努力して世界を回って世界と繋がれる自分になりたいです。
このブログを見てもーっと頑張らねば!と背中を押されました♪
夢は叶うのですね!!!
いつか一緒にお仕事ができる日が来ますように。
ありがとうございましたっ^^
はじめまして、こんばんは!
パドックに入れるなんて、とても良い体験をしましたね!楽しそうに見えましたか?笑 たしかに好き好んでF1で働いてるって人は多く、僕も一緒に働いていてある意味気分が楽でした。
自分自身、夢って本当に叶うもんなのかもなーと思ってきています。道の途中、やっぱり途中でやっぱり幻想だったのかもと思うこともありましたが、案外この世界って、捨てたもんじゃないなと。笑
そしてその原動力は、自分次第なんだと。
この様なコメントは本当に嬉しいですし、僕もこの先もっと成長しようって思います!お仕事などでご一緒できる時が来るの、楽しみですね^^
共になりたい自分目指して頑張りましょう!