難しい?サウサンプトン大学、工学1回生が受ける講義達
こんにちは、イギリスで大学生してるわたぽんです。
ファウンデーションコースを終え、やっとイギリスの純粋な大学一年生になり2ヵ月。同じ大学での生活とはいえ、ファウンデーションコースに比べ、ハードなスケジュール、そしてさらに面白い日々になっています。
本日はサウサンプトン大学で工学系生徒の僕が受けている講義の様子紹介をゆるーくかるーくしようと思います。全体的に、教えるのがうまい教授達が揃っていますよ!
ちなみに僕がいるのを日本の大学風に合わせて書くと、「Engineering学部Aeronautics and Astronautics学科」です。専攻は三回生から分かれだします。
工学系の一回生は共通の講義が多く、選択科目なし
一般的に、イギリスの大学では一回生からかなり専門的なことを学ぶと言われています。基礎教養などはないと。サウサンプトン大学のEngineering系コースでも、これがだいたい当てはまります。
Aeronautics & Astronautics学科では、一回生で6教科学びますが、うち5教科は数学や電気電子システムなど、いわゆる理系科目。そして残る1教科は、飛行機に関するあらゆる基礎的なことを学ぶ、飛行機教養科目みたいなものです。
そしてこの飛行機に関する教養科目以外は、実はMechanical Engineeringの生徒もCivil Engineeringの生徒も、Ship Engineeringの生徒もほぼ同じです。
また、一回生には選択科目というのが一切ありません。僕のコースでは、一回生では時間割も何もかも、すべて大学側に事前に決められています。もちろん、一つでも落としたら留年or退学です。他の専攻(文系)では違うそうな。
では、各教科のことと、lecturer(講師)の紹介へと移りましょう。
Mechanics, Structures and Materials
機械的なことや、物質工学、力学、運動あたりのことを学ぶ教科(すいません、日本語でそれぞれなんと言うのか分かりません)。
この教科は細かく分けると、Statics, Materials, Dynamicsの3つで構成されています。セメスター1ではStaticsだけをやり、その後MaterialsとDynamicsをやり、5月にFinal Exam(計4時間)があります。
流れとしては、講義→Tutorial(問題演習)→Coursework(小テスト)を繰り返し、最後にFinal Exam。実験は年間2回と少ないですが、両方ともレポート課題が出されます。
講師は内容によって、節目でちょっとづつ変わってきます。
ちなみに一人目はオランダ出身の”OK”と”Yeah”をやたらと使う教授でした。それゆえイギリス人生徒の笑いのネタにされるものの、パワポスライドがめちゃくちゃ分かりやすいため、おおむね評価良しという方でした。でも講義かなり眠い。
二人目はフランス出身の、レミーのおいしいレストランに出てきそうな、眼鏡をかけた恰幅のよい教授。名前はピエールさんだったと思う。一人目に比べ発音に強弱をしっかりつけるので眠気は少ないです。そして特徴的なのは、出てくる物をすべて食物に例えてしまうこと。今までじゃがいも、パンケーキなどが登場しています。
名言は「船も飛行機も、じゃがいもと一緒。」
色々はしょってますが…謎です。
Thermofluids
熱力学と流体力学という、単体でも難しい学問二つを組み合わせた、文字通りcrazyな教科。上級生たちは皆口をそろえ、”Thermofluids was crazy. The coursework was fuckin difficult.“と教えてくれます。そこへわざわざ、”The legends/rumors are true.“と送ってくる教授陣は最高です。
システムはMechanicsと似て、講義の他は、練習問題、コースワーク、実験で構成されています。
講義はLecturerがめちゃくちゃ良い人で、とても説明がうまいです。講義では主に計算方法よりも、なぜその現象が起こるのか、流体の運動はどうなってるのかを感じ、コンセプトを理解することに主眼が置かれています。
そして計算は練習問題でちょろちょろっとやる感じ。毎週問題演習のための時間もあるのですが、担当教授の名前はDr.ダビデ・ラザニアです。おいしそうです。良い人ですが、よく計算ミスしてます。
問題なのはコースワーク。年5回コースワークが出るのですが、その内容が鬼畜と工学系生徒の間で話題。毎回5問の質問が与えられ1週間解く時間が与えられるのですが、なぜ1週間もあるのかは解き始めると分かります。
コースワークの問題も、計算力を試すというより、各現象を芯から理解しないと解けないようにできています。なので、学んだことを完璧に理解していくために、とても役に立っています。
さて、この科目のハイライトはなんと言っても、担当教授のユーモア(Sarcasm)。ある日、生徒は教授に言いました。
生徒:”You’re a bit too sarcastic at times”
教授:”Fair point. I shall be a bit more professional.”
生徒にsarcastic(皮肉)と突っ込まれる教授。今年も十分皮肉こめて講義をされています。おかげで一番難しい科目にも関わらず、毎講義一度は笑わせてくれます。
生徒2:”The lectures are a bit too “black and white””
教授:”Fair point. I will try to find some colour.. ”
そして白黒に対する回答として、今年はYouTubeで動画を拾ってくることで鮮やかになったと笑顔で語っていました。つまりスライドは未だ完全白黒です。他の色見たことありません。
とりあえず難しいけど、最も好きな科目です。
Electronical and Electronics Systems
こちらも流れはMechanicsやThermofluidsと似て、講義、問題演習、実験の組み合わせ。少し違うのは小テストがないこと。その代わり1月と5月、二度大きなExamがあります。内容も科目名の通り、電気電子に関すること。あくまで力学系専攻生徒向けの科目なので、基礎的なことがほとんどです。電気嫌いでもなんとか頑張ろうと思える内容。
そしてこの科目も、教授の質がかなり高いです。内容によってちょくちょく教授自体は変わるのですが、過去にバンド経験があり講義中常にスライドの前を動き回るlecturerや、ジェイソン・ステイサム風だけど細身で説明の上手なlecturerなどがいます。
実は一人目の方、有名なアーティストのバック演奏で参加したりと、かなり本格的に活動されてたそうです。
さて、どこでしょう。
Mathematics
ちょっと変わったシステムで、説明が必要なのが数学の時間。簡潔に言うと、講義が一切ありません。講義がないなら、どうやって進められるのか?
流れは、「自習→小テスト→合格点とると次の単元」の繰り返し。
まず、教科書代わりに分厚い数学の本が配られます。生徒はそれを使って、「自分のペースで進めていいですよ。」と最初の説明の時間に言われました。
しかし、欧米の分厚い教科書を一人で使いこなすのは、中々大変なことです。そこで、数学教授陣は教科書に完全対応したインストラクションを用意し、それに沿って進めることで必要な部分だけを読み、必要な問題を解けるようになっています。
また、講義はないものの毎週小テストを受けにくるように言われています(参加は自由、ペースも自由、受ける小テストも人それぞれ)。毎週4時間、小テストを受けれる時間が割り当てられています。
つまづいた人には、ヘルプセッションもあります。
つまり、進めたい人はどんどん先に進めるし、逆に学期末ギリギリまで放っておくこともできます。最終的に指定されている単元までたどり着き、小テストでスコアを取っておけば文句は言われないので。
ちなみに教授陣は「サウサンプトンのエンジニアリングに何人生徒がいると思う?すべてに講義を行ってたら僕らも大変だし、場所もない。そこで、このシステムが生み出された。」と、公に生徒数が多すぎることを語っていました。
内容は高校数学をフルでやっていれば、半分は知ってるレベルです。
Design and Computing
設計、CAD操作、プログラミングを詰め込んだこの教科。特別難しいわけではないものの、毎週のように課題か小テストを課すことで、生徒たちを苦しめています。
DesignパートのCAD設計では、Solidworksというソフトを使い、CAD操作の練習をします。CADに関し講義は一切なく、事前に用意されているインストラクションに従い、進めていきます。つまづいたらアシスタントの上級生たちに聞いてね、というシステム。
CADと同時並行で、製図や規格などについて学ぶ講義もあります。
プログラミングはPythonという言語を使っています。工学系なので、アプリ制作にC言語というよりも、データ解析などが主となっています。
講義はこれでもかというほどしょーもなく、しかも講義会場が大学内のシネマ。座り心地あまりよくない。しかし毎週オンラインで提出する小テストがあるので、キャッチアップしてないと大変なことになります。テストではなぜかPEP 8というフォーマットに合わせたり、コメントをつけなかったりと、かなりめんどくさいです。そのせいで今まで何点も落としてきたのが残念。
ちなみにCADのアシスタントの上級生が、レオナルド・ディカプリオ似で面白い人なので、CAD演習はいつも楽しんでやっています。(?)
Aircraft Operation & Flight Technics
1回生でAeronautics & Astronautics用に用意された専門科目。飛行機についてありとあらゆる基本的なことを学びます。例えば航空会社、空港、航空と天気、飛行機の安全性、そして飛行機の性能に関わる技術的なことなど、カバーされる範囲は多岐にわたります。
担当教授はフランス出身の人ですが、ちょっとプーチン大統領に似て、笑うと不気味。特技はスライド全文を読み上げることです。英語もフランス語もドイツ語もスラスラ読んでます。たまに困ります。でも講義はわりと面白いです。
年二回テストがあるのですが、パイロット志望の友達によると、前期のテスト(飛行機の技術的なこと以外)はパイロットになるためのテストと似てるそう。パイロットなんて、遠いどこかの誰かの話かと思っていたからびっくりです。
難しさ、忙しさはどれくらい?
イギリスの大学に行ってると言うと、難しそうと思われることもあります。が、実際はどうなのでしょうか?
個人的な見解では、(理系は)高校で理系科目をしっかりやっていれば、とびぬけて難しい、わけ分からなくてやってけないということはないです。特にファウンデーションコースを終えた人であれば、高校と合わせて同じこと学ぶの3回目…ということもあります。簡単というわけではないですが、僕のいるコースに関してはそんな感じです。
英語でハンデがある僕で、難しいけどまあついていけるレベルなので、英語ネイティブにとってはもっと余裕があるはず。クラブや飲みに行きたい場合も、日にちさえ間違えなければ全然大丈夫でしょう。ソサエティ(サークル)への参加も全然いけます。ちょくちょく本気で忙しいときがあるので、その時だけ行かなければいいのです。
ところで、ツイッターで僕をフォローしてる人は、僕が忙しそうにしてる様子をちょくちょく感じているかもしれません。今余裕とか大丈夫とか散々言ってるくせに。
イギリスに限らずですが、良いグレードを取ろう、芯から理解しようと思うと、勉強には上限がありません。その時々が、ちょくちょく来る忙しい時期なのもありますが、僕は少なくとも最低限のスコアでパスするというつもりはないので、それなりに勉強にも時間がかかってしまいます。(効率も良い方ではないので!)また、勉強をもっとしたいと思っている自分もいます。
まあ、もっと気楽にギリギリスコアで突破を図るなら、週二回クラブへ行ってソサエティも2~3つぐらい参加(スポーツ系含む)、でも問題ないんじゃないでしょうか。
わたぽんのまとめ的なにか
サウサンプトン大学の工学系生徒は、こんな感じのことを学んでいます。わりと普通とも言えるでしょう。まだ一回生なので。
イギリスの大学すべてが同じ感じというわけではないので、注意してくださいね。
あかん、関西人やのにオチがない。
…。
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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思っていたよりハードですね、試験がハードな分、頭脳だけでなく、ある程度メンタルもタフになるんでしょうね(笑)
カリキュラムが決められているあたりは日本の医学系と似ています。これを変えようと思ったら僕らの場合はある程度国に建てつかないといけませんが。(参照;
ユーモアは、日本の大学の先生にも見習ってほしいです(;´・ω・)
試験もそこまでハードというわけではないと思いますよ!ただ、テストでカバーされる範囲が一年分というのはキツイかもしれませんね…