海外大学留学なんて全然偉くも凄くもない。ブランドを取っ払うことが大切
こんにちは、イギリスで大学生してるわたぽんです。
イギリスの大学に行ってると言うと、同じ学生なら十中八九「おおっ!」と言ってくれるし、社会人でも「グローバル化やね~」とコメントを残したり、近所のおばさんも「あらあ!」なんて嬉しい反応をしてくださる。まあ、率直に気分が害されるような反応ではありません。
でも、とてもおかしな感じがします。
お世辞で言ってた人もいるにしよ、まだまだ「海外大学進学=凄い」とか、「英語話せる=偉い」などの方程式を信じてる人が多いんだろうなってことに。
それに乗じて浮かれる留学生なんていたら、これほど滑稽なことはないでしょう。
留学生としての視点で、なんかおかしいよな~と思ったことを書いていきます。
「イギリスへの大学進学なんてセンター試験より簡単」
こんなこと言ったら、絶対誰かに「いやいや」とかなんとか言われる。てか僕も実際にイギリスの大学に来てなかったら、絶対言ってます。
でも、事実です。そしてイギリスだけの話じゃないはず。
ただイギリスのどこかの大学に行きたいだけなら、全く難しいことはありません。もちろん、ケンブリッジやオックスフォード大学に行きたいとなると難しいですが、イギリスの大学にだって受かるのが容易いところがあるのです。海外の大学に行くのが難しいなんて、ケンブリッジ大とかしか知らない人が勝手に思い込んでるだけ。
僕からしたら、センター試験なんかよりよっぽど楽なんじゃないかなと思います。一応、昔に関連したこと書いています。
参考記事:イギリスの大学に進学するのは意外に簡単?サウサンプトン大学を例に、ファウンデーションコースに受かる難易度について考える
少し掘り下げて言うと、センター試験では好きな科目だけじゃなく、嫌いな科目でも頑張って点数を取らなくてはいけません。僕の場合は国語・古典など。嫌いなものでも頑張らないといけないというのは、かなりの苦痛です。
ところがイギリスの大学へ進学するには、基本的にファウンデーションコース(大学進学準備コース)を経由していく人がほとんど。そのファウンデーションコースに受かるには、日本の高校で、
- 専攻したい科目で良い成績をとる(つまりたいてい好きな科目)
- IELTSというテストでそれなりに頑張る(4.5-5.5)
- 志望理由書を書く
- 推薦書を先生等に書いてもらう
程度です。専攻したいことに関連する科目で5段階中4や5をとれば、後は別に3でもいい。評定平均が4あればいいよね~なんて僕は言われましたが、形式的に出されやすい高校のテストで点を取ることは、コツをつかめば難しいことではありません。
また、IELTSだって”by the way”の意味が分からず、「温度」を英語で言えなかった小僧でも、片手間2年半で行けるレベルになったのです。そんなに身構えるほどのものでもありません。Overall 5.5以上だとそれなりにレベルは上がりますが、4.5でもオッケーと言ってくれる機関もあるので、誰でも気楽に挑戦できるレベルです。
だから、”イギリスの大学”に行きたいなら、気楽に好きな科目とちょっと英語を対策して、書類を送っておけばいい。どこかは受け付けてくれるから。そしてファウンデーションにひとたび入れば、その先の学部入学も、こだわらなければ全然行けます。
イギリスの大学って一概に言っても、色々ある。
日本に出願すれば入れる大学があるのと同じで、イギリスにだって「出願すれば入れる」とは言わないけど、「そんなに凄い学力や特技がなくても、全然行ける」大学はあります。特別なことじゃありません。
日本の大学のレベルが低いと言うのは見直すべき
海外の大学を持ちあげる人がいる一方、日本の大学をやたら下げる人がいます。ただの謙遜だといいんですが…。
まず、日本の大学と言ったって、四流大学やそれ以下から、一流と呼ばれる東大や京大まで色々あります。学部・学科によっても大きく違います。たしかにレベルの低い大学は目も当てられない状況と言えますが、良い大学は内容的にそんなにレベルの低いことをやっているとは思いません。
僕は夏休みに日本へ帰ったときに、理系専攻の友達のやってることを聞いて、特にレベル低い等と思いませんでした。むしろ、「やってる内容はしっかりしてるんやな」と思ったほどです。(別に上から見たわけではなく、客観的に。)
僕の見方では、日本の多くの大学では”講義のやり方”や”単位自体を取るのがそれほど難しくない”という事実が、大学生のレベル低下に繋がっているんじゃないかなーと思います。(他にもあったかも。)しかし、教えられていること自体や、配られる教科書に書かれてあることは、レベルの高いものもちゃんとあります。
つまり、日本の大学にいようと、勉強してるやつはちゃんとしてるってこと。まあ、だから大学はいらないとか言われるのかな。
結局は環境を言いわけにした、何もしなかった自分を否定したくないだけなのかもしれません。
(ちなみに比べたのは理系の大学生です。僕は日本の大学生ではないですが、例えば文系のコースがひどい等という話も聞いています。あくまで理系ベースかつ、一般化して言ってるわけではないということをご理解ください。)
留学を英語(言語)の出来で測るのはやめませんか?
留学した人、特に海外の大学・大学院に行った人が凄いねと言われたりしちゃうのは、英語が一つの要因になっています。(細かくは言語力ですが、英語を例にする方が分かりやすいかと思うので英語で書いていきます。)
日本では英語をスムーズに話せる人が少ないので、「留学=英語できるようになる」というイメージが先行しがち。「1年留学してた」なんて言ってしまえば、勝手に=英語喋れる=凄い…と思う人もいます。
逆に長い間海外留学してたのに、その国の言語をペラペラ喋れない人がいたら、「ダメな人だ」と先入観を持ってしまいがち。
でももう、留学と英語をひっつけて考えるのやめませんか?
英語を目的に留学する場合はもちろん、英語が一つの指標になります。英語が第一目標ですから。
でもすべての留学者が、ペラペラ英語を習得して帰ることを目標としてるわけではないのです。英語はあくまで、控え的なものだったりします。
留学というのは英語だけでなく、そこで学べる技術やノウハウの他、コミュニケーション技術や物事を客観的に見れるようにすることなど、人によって目標は様々です。そこに英語が介在しているだけで、別に英語をペラペラに話せなくても、それなりにできればいいやって場合もあります。
それを、英語(言語)力で留学の価値を推し量っていちゃ、不具合が生じます。本質を見失います。
その発展型が、「英語ができる帰国子女は凄い」みたいな空気感。英語だけできて中身がすっからかんでも、ちやほやされる環境は、決してあるべき環境ではないでしょう。まあ英語ペラペラ喋れる人はいいなーとは思いますけど。(嫉妬あり)
留学ほどよくできたブランドはないかも
言葉だけで何かできそうな感じをだし、実際に言葉につられてしまう人もいる。
ちゃんと中身がしっかりしている人もいれば、割に合わない人もいる。そしてブランドネームだけを取ってきて、ニセモノだろというような人もいる。
「留学」というブランドを自分に足すことで、人に見せびらかすこともできる。気分的に高揚することもできる。
まさに、ブランド物です。
最近では「留学」程度じゃブランド力が落ちてきていますが、「海外進学」なんて、未だ強いブランド力を発揮します。
ファッションのブランド物でも、良い物、悪い物があるのはご存じでしょう。
逆にブランドイメージが先行して、値段ほどに品の価値がないと思われる物も多々あります。ブランド物を買って後悔したことがある人も多いでしょう。
留学も同じで、ブランドイメージに惑わされてしまうと、その中身の本当の価値を推し量り損ねてしまいます。時にはイメージが先行して、過大評価してしまう・されてしまうこともあります。
たとえ海外留学生に凄い人がいたとしても、それが海外留学したから凄いのか、凄いから海外留学したのか、海外留学がなかっても凄いのか、たまたま海外に行ったってだけなのか、しっかり見極められるようにならなければいけません。その逆も然り。
留学生ブランドの御利用もお忘れなく
さて、ここまで留学生をもっとフラットな目線で見ようぜ、ということを書いてきました。が、簡単じゃないでしょ。笑 ブランド物には、嫌でも先入観が入ってきますよね。
留学してる側とすれば、このブランドイメージを利用することを忘れないでおきたいところ。それはケンブリッジ卒業生の方にもらったアドバイスでもあります。
参考:ケンブリッジ卒業生に聞いた、海外でも通用する大学生活論がためになる
例えば「海外の大学に行ってました」なんて言えば、8割~9割方の人の目をひくことはできるかなと思います。注目が集まれば、そこで自分の実力を披露するのです。別に日本に限らず、海外でも同じ。例えばイギリスで「日本から来た」と言えば、「ロンドンから来た」と言うよりはるかに人目をひきやすいです。
実力があっても注目を集められない人もいる中、それだけでパッと人目をひける「海外進学」の言葉は、中々に利用しがいがあるものです。
きっと、本当に実力がある人よりも、実力はいくらかあるけど多くの注目を集めるほどではない人の方が、このブランドの効果を発揮できるでしょう。
もちろん、注目を集めても実力がレンコンのようにすかすかじゃ……。
わたぽんのまとめ的なにか
海外留学・進学という言葉に惑わされないようにしましょう。奴らはそれを利用しますよ。ぼ、ぼくも…(←と言ってる時点で利用できていない)
そしてどの国に行ったら後ろから消しカス飛んでこないんだ…と考えた結果、一番後ろの席に行けばいいと気付きました。
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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こんにちは、初めまして!
今年大学一年生になります、女子です!
なんて挨拶したらいいのかわからなくて、変な自己紹介だったらすみません
自分のことになるのですが、私立受験をして、一校だけしか受からず、絶望的な状況に陥っていました。
その大学はもともとおさえ、という感じで受けたのですが、合格したのなら縁があるのだろうとおもって入学が楽しみになっていました。しかし、学歴がすべてと言われるような現在ではわたしの大学は学歴社会では生きていけないのかなと思っています。そこで、この記事を見て、海外の大学はどんなものなのだろう?と思いました。
海外の大学は英語ができていないとだめ、という考えだったので、自分には無理な話だと思っていましたが、すこし考えが変わった気がします。
長々と書いてしまいましたが、聞きたいのは、
海外の大学へはどのようにしたらいけますか?今の時期から行きたいとすればなにをすればいいですか?
あと、あなたはどのようにして海外の大学へ行ったのですか?
話がうまくまとまらず、すみません。
ですが、聞かせて欲しいです、お願いします!
はじめまして、こんにちは。
コメントありがとうございます!
個人的には、学歴が重視されるのはいわゆる”一般的”なところで、色々見渡してみれば、案外学歴が必要ってわけではなかったりします。(もちろん、あれば助かるものですが。)
海外の大学へは、お金が足りて場所さえこだわらなければ、行きたいと思えば行けますよ。海外と言っても、イギリス、アメリカだけじゃなく、東欧やアジア圏にも大学はたくさんありますし。有名大学や、何かこだわりがあれば、もちろんクリアしていかないといけないこともでてきます。
だから、行く先、そして何をしたいかなどが先にあって、そこから何をすればいいか、なんかが見えてくると思います。
僕の話は、ブログかどこかで書こうと思いつつ、書けていません…。簡単に書くと、普通に日本の高校から、イギリスの大学へapplyし、進学しました。
こんにちわ わたポンさん
僕も今海外のコミュニティカレッジに通っている学生です。最近思うのは、日本に帰国後のバイトの同僚から凄いねとか、偉いなとか 言われて、自分的にはそんなこと全然ないのにって思うんですよね。
こうして海外に行けるのも親のおかげだし、自分はただ学校に行き学生としてそこそこ頑張ってるだけなのに。
わたポンさんの言う通り そこには留学生というブランドを感じました。
僕はその留学ブランドに対していつも疑問に思います。
凄いのは自分じゃなくて、親であるって。
わたぱんさんは どう対応しますか?
僕は留学ブランドですごいって思われても正直嬉しくありませんし(思うときもますがw) たまに小さな罪悪感のようなものを感じます。
もちろん海外で一人暮らしして、大学でそこそこ頑張ってる面で褒められるのであれば嬉しいですが。
わたポンさんの記事を読んで、自分と同じ考えがある人がいて、共感できる人がいて良かったです。
Yuさん、コメントありがとうございます!
おっしゃる通りで、ブランドに違和感を持つことは大切だと思います。
しかし、凄いのが親かどうかというのは、少し微妙なポイントかもしれません。というのも、僕の場合は親に促されてイギリス行きを決めたわけじゃないし、その点自分を褒めてあげたいぐらいです。
もし親が全てだと言うのなら、それこそブランドに似合わないのかもしれません。でも主体的に選んだ選択肢に”たまたま”ブランドがついてくれるのであれば、それはそれでラッキーかなと考えてます。笑