「自分には得意がなく何もできない」なんて妄想は打ち砕け!
こんにちは、わたぽんです。
時々、自分の得意ってなんなんだろうって思います。
グループワークや団体活動等で、メンバーの一人として何か役に立ちたいと思う。でも優秀な人に囲まれれば囲まれるほど、自分にできること、自分の得意ってなんなんだろうって考え込んでしまう。
経験上、こう考え出すとさっぱり答えが出てこない。考え出して、何も手がつかなくなって、結局何もできない。ああ、やっぱり何もできないやと、自己不信にもなる。
だからきっと、「自分の得意は…」なんて考えこんでしまうのは、間違いなんだと思ってます。
じゃあどうすれば…?
そんな時に、いつも思い出すことがあります。
「目の前のできることを、ひたすらやっていく。」
何が得意とか分からないかもやけど、目の前の、今できることが一つはある。それに全身全霊で取り組んでいく。本気で考え、動き、目の前のタスクをひたすら片付けていく。修行僧のように、ただひたすらに。
そうすれば、少なくとも前には進める。グループワークであれば、周りにも何か貢献できる。もしかしたら、何か新しいことが思い浮かぶかもしれない。新しくできることが増えるかもしれない。自分の居場所だって見つかったりする。
自分に分かりやすい得意なんて見えてなくても、役に立つ方法はある。
これはイギリスでF1目指してた時に、実体験を通して学んだこと。
何もできない自分でも、なんとかして自分の価値を示したかった。周りに役に立つ人間だと見てほしかった。そのために、誰もが面倒で嫌う単純作業を、嬉々として引き受けた時のことのことです。
何もできないことなんてないんだ。
本当に何もできない中でのスタート
イギリスの大学でFormula Studentをしていた時のこと。(当ブログの読者さんにはお馴染み、学生レースチーム活動です。)
夏休み。
講義も試験も全部終わって、僕らのチームでは車作りの追い込みに入っていました。翌年にF1チームでのインターンをゲットしたかった僕は、なんとしてでもこのFormula Studentで、この大学で結果を出さなければいけなかった。学ばなきゃいけなかった。
でも、大きな大きな問題がありました。それが、
工具の使い方分からない
製造の仕方分からない
……エンジニアの卵として、あるまじきこと。周りはみんなドリル使ったり、切ったり、折り曲げたり、せっせと色々してる。でも、僕にはさっぱり分からなかった。車を作るにあたり、どんなパーツがあるのか、どう動くのか、どう作るのか…。実はなんにも知識がなかった。
初期の頃、「何か仕事はありますか!!」と先輩に無理矢理お願いして、一枚の図面をもらいました。
3mmのアルミニウムの板を適当な形に切って、穴を二つ開けるだけのもの。超簡単。20分でできる。
それを1時間以上もかけて仕上げた僕。しかも先輩に笑顔で渡すと、
「穴でかすぎるやんこれ…」
と一言。英語と工具に苦しみ、ミリメートルで書いてあるところを、あろうことかインチ単位のドリルで無理矢理こじあけた代物。
言われるまで分かってなかった。
それでもF1のエンジニアになりたいと思ってたし、Formula Studentチームの車作りにもなんとか参加しなきゃと思ってた。
どうしよう…。
何も得意なことはありませんでした。穴もまともに開けられないのに、何を作れるというのか? あ、でも一つだけできることがありました。
それが、やすりがけ。
粗いザラザラの紙でパーツ表面の凹凸を取り除き、つるつるにする。必要なのは、手を動かすだけ。
それならできる!
てかそれしかできない!
正直、めちゃくちゃ嫌でした。
粉が飛ぶしマスクしなきゃいけないし、ひたすらやすりがけすると手の感覚が麻痺してくる。それに、超単純作業で、全然面白くもない。周りがかっこいいパーツ作りしてる横で、僕はひたすらやすりがけ。
でもこれしかできない。チームの中で自分が役に立てるとしたら、これしかない。
やろう。
やるしかない。
心を決めて、やすりがけに取り組み始めました。
今できることの積み重ねが、新しい場所に導いてくれる
実は僕以外にもこの役割を割り当てられた人もいたのですが、みんな数日、早い人なら翌日には、顔を見せなくなる。気付けば僕だけが、毎日やすりがけをしていました。
それはそれで結構辛かったです。もしF1に行きたいなんて考えてなかったら、僕だって3日でやめてた。でも目指してたものがあったから、やってました。当時あった希望は、
「早くやすりがけを終わらせれば、別の面白い仕事のお手伝いができるかも…!」
です。
もう一つ、途中からやめない理由が出てきました。
「おう、今日も頑張ってるな!」
「このパーツも磨いてくれん? ありがとう!」
「今ちょっと時間あるし、手伝うよ。大変やろ。」
周りのイギリス人達が、声をかけてくれるようになったのです。
最初は朝来た時と夕方(夜)帰る時だけだったのですが、段々と昼間にも声をかけてくれるようになった。「ランチどうする?」と誘われるようにもなった。安さとでかさだけが取り柄のピザを、一緒にかじったりした。
ああ、認められてるんだな、自分。
初めてそう思えました。
イギリスでも役に立ってる。
実際やってたことは、ただのやすりがけ。でも単純作業なのに時間がかかるからか、みんな途中で放り出してしまう。僕はそこを、周りの想定より早く、周りも惚れ惚れするほどつるっつるに磨きあげ、先輩に納品し続けていたのです。きっと、「あの日本人、頑張ってるな」と見てもらえてた。
その時に学びました。
自分に得意なんてなくても、役に立つ方法はあるんだと。
それ以来、僕はやすりがけマスターとして、チームで一目おかれるようになりました。僕にパーツを渡せば、綺麗につるつるになって返ってくる。自分にはできることなんてないから、車作りも重要パーツには触らせてもらえない…。そう思ってたのが、最終的にほぼ全ての空力パーツや、シャシー、エアインテークにも、僕の手が入るという結果になったのです。
また、さすがにやすりがけを何週間もしてたら、磨くパーツもなくなってきます。すると、
こっち手伝って!
あーーこっちも!
全力で悪態一つつかず仕事をこなす僕に、色々と声がかかるようになりました。でも…、そう、僕はできないことだらけ。
「あの、カーボンファイバーの成型方法なんて分からないんですけど…。」
手伝ってと先輩に頼まれた時、恐る恐る尋ねました。すると先輩は心配する素振りもなく答えます。
「Don’t worry. I’ll teach you. (大丈夫、俺が教えるから。)」
こうして、新しい技術を学ぶ機会を得ていきました。
車が完成する頃には、かなりの数のパーツも作りました。しかも先輩と僕しかその詳細な作り方を知らないので、同学年の人達より、一歩先んじることができた。
「何もできなかった自分が、周りより何かできるようになれた。」
この経験は、今でも大切なものの一つです。
自分の得意を考えこむんじゃない、目の前のできることを積み重ねていく
正直なところ、自分の得意なんて中々見つかるものじゃないと思います。
世界を見れば、何かにおいて凄い人、センスある人はたくさんいます。結局、絶対的な得意は何か? なんてばかり考えていたら、上に行く度に躓いちゃう。
それよりも、その段階で、その時々でできることを、ひたすら実践していく。全力でこなしていく。
そうしてやっと、自分にできることが一つ増えたり、周りが新しい場所に引っ張ってくれたりする。
ただ一つ、注意しておいてほしいことがあります。それが、「やりたいことの意思表示はし続ける」こと。
僕はやすりがけをしていた時も、
「もっと他の設計方法について知りたい!」
「空力について知りたい!」
「何か他に仕事ないの?」
と言い続けていました。もちろん、やすりがけが一段落ついたところで、です。目の前のできることを片付けてから、「まだ時間あるんですけど、〇〇とか今、人手必要じゃないですか?」と伝える。そうして初めて、何か面白い仕事に繋がったりする。
得意かどうかとか、自分にはできないことだらけで…等と悩みすぎないようにする。思考の迷路に入ったら、今、目の前に転がっている「今の自分でもできること」に全力で取り組もう。
大丈夫。何かできることはある。役に立つ方法だってある。
わたぽんのまとめ的なにか
「得意がないから…」という妄想なんては打ち砕いちゃえ。
- 得意が何かとか考えすぎない
- いつでも何かはできるはず
- その目の前のことを全力でやる
- 同時に意思表明をし続ける
何かしら自分が役に立てることはある。
僕も最近、F1エンジニア以外の道に進むことにして、でも「自分にはできないことだらけで…」と考えがちで。その度に、やすりがけの記憶を思い出すようにしています。そして目の前のできることに集中し、全力で立ち向かっていく。
昔の自分にできてて、今の自分にできないはずもないもんね。
がんばろ!
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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