IELTS6.5は十分じゃない?イギリス留学前に知りたかった必要英語スコアの意味
こんにちは、わたぽんです。
イギリスに留学する人の多くは、IELTSを受けたことがあるかと思います。TOEFLやTOEIC、あるいは英検と同じ、英語試験の一つ。それらの中でも、実際に試験官と対面するスピーキングテストや、大学でのエッセイ執筆をも連想させるライティングテスト等、より実践的かつ正確に実力を測れる試験として知られています。
だいたいにおいて、イギリスの大学・大学院で求められる最低点は:
- 学部ファウンデーションコース:4.5~6.0
- 大学学部:6.0~
- 大学院:6.0~
というところでしょうか。上記はOverallでの概算で、場合によっては各セクションでの最低点も指定されています。
僕の申し込んだサウサンプトン大学のファウンデーションコース(2013年当時)では、生徒募集要項に、
Minimum Overall Score: 5.5 (各セクション最低5.5)
と書かれていました。
他にも、プリセッショナルコースを受けるなら、5.0からも受け付けるよ♡なんて書いてありました。が、このプリセッショナルコースというのは、通常の入学前の夏休みの期間に行われる英語補修コース。もちろんお金も結構かかった。このコースは中国人ばっかりで、逆に中国語覚えてまうわ!と知人は僕に訴えるように教えてくれた。
そんなこともあり僕は、IELTS5.5は必要最低限(汗)と思い、IELTSに臨んでいました。
果たして、僕はこのIELTSで平均6.5 (L:6.0, R:8.5, W:6.0, S:5.5)を取り、無事サウサンプトン大学への進学を決めました。ですが…。
隠されたIELTSによるクラス決め – IELTS6.5のイギリスでの見られ方
サウサンプトン大学のファウンデーションコースでの2日目に驚いたのは、人によって受講科目が違うということでした。それも一部はIELTSのスコアによって、既に決められていると。
教授による説明では、「IELTS6.5に届いてない人は、英語の授業を受けることになる。つまり、数学以外に3つの工学系科目があるが、IELTS6.5に届いてない人はその内2つしか受講できる時間がない。」
とのこと。そんな説明、パンフレットには一言も書かれていません。
もし募集要項の通り、僕のIELTSスコアが5.5だったら、この英語コースに強制収容され、貴重なイギリスでの工学受講科目を一つ失うところでした。この経験から僕は、
「最低点が5.5って書いてあっても、大学学部のファウンデーションコースに行くなら6.5は取っとけよ。」
と訴えることを、当時決意しました。
6.5というと、高校卒業時にしては結構良い方。それに必要スコアを大きく上回ってることに自信を持っていました。
コース最低と馬鹿にされた僕の英語力
実際にオリエンテーションや授業が始まりだすと、コースメイトとも関わりを持ち出します。ずっと望んでいた、英会話のオンパレード。
サウサンプトン大学のEngineering Foundation Year(工学系ファウンデーションコース)では、120人中60人が留学生、もう半分はイギリス人でした。普通は全員留学生だそうですが、サウサンプトンは門戸が広かったのです。
IELTS5.5が最低条件の中、僕は6.5。なんて自信を持っていたのですが、僕だけが全然英語喋れないのは明らかでした。
たしか、学期が始まって3日目のこと。
気持ちの良い秋晴れの日で、僕達は大学構内の芝生に腰を下ろしていました。この頃になると、ちらほらと周りの人とも話しだし、グループのようなものもできていました。
留学生仲間でわいわいと喋ってた時に、ふと英語の話題になりました。みんな英語は第二言語。
英語は難しいよ、イギリス人やべーな、なんて周りは話してたのですが、いやいや、みんな僕より喋れてるし、全然問題なさそう。ちょっと気になって、聞いてしまいました。
「IELTSでなんぼとった?」
一人ずつ、右回りに答えていってくれます。
「8.5!」
「俺は7.5やった…」
「よっしゃ、俺は8やで」
「俺も8.0。8.5は凄いな。」
「わたぽんはどうやったん??」
なんというか、英語に関してこっそりと持っていた自信みたいなものが、木っ端みじんに吹っ飛んでいったようでした。そして必要最低限の声で答えました。
「し…っくすぽいんとふぁい…ぶ…」
周りの人は笑いながら言いました。
「やろうな。笑 だって全然喋れてへんもんな。笑」
「うん、わたぽんの英語力、クラス最低やで。笑」
「まあでも6.5なら悪くないって。笑」
たしかに、僕の英語力はクラス最低レベルと言って、間違いではなかったです。
実際イギリス人とは全くスムーズに話すことができず、僕なんかは輪の中に放り出され、世の中は動いていきました。拾ってもらった留学生仲間の輪でも、話についていくので精一杯、というかついていけてない。愛想笑いが次第に貧相になっていく。クラスでプリントを配布される度に、幾つもの未知の英単語が出てきて放課後は辞書とにらめっこ。
IELTS6.5って、なんやったんやろう…5.5が必要最低限って、なんの目安やったんやろ…と思いました。
大学が求めるIELTS必要スコアの意味
では、なぜ5.5が最低スコアだったのか?5.0でもいいよ♡というのは、なんだったのでしょうか?留学してから気づいたのですが、これには二つの側面があるようです。
IELTSスコアを取れない(取らない)ヨーロッパ人
留学生の中には、もちろんオランダやフランス、あるいはクロアチアやリトアニアという、欧州諸国から来る人もたくさんいます。全員が全員というわけではないものの、学部・ファウンデーションコースレベルで入ってくる人は、僕のように英語力に大きな問題を抱えて入学してくる人は少ない。特にサウサンプトン大学の工学系は、入学基準が全体的に厳しめということもあり、みんな授業でついていくだけの英語力はしっかりと身につけてきていました。
それに対し、IELTSスコアはというと、みんな8.0以上取っていたというわけではありません。
これはイギリスに来てから知ったのですが、英語力は既に十分だけど、大学の入学条件を満たすためだけにIELTSを受ける、という人がいます。特に欧州出身者に多い。
これはいわば、中学卒業するには赤点を取らなければいい、という類のものと似ていて、別に特別良いスコアが必要なわけでもありません。だから、そういう人達にとって5.5、あるいは6.5を取れば、まあそれで十分だと見られています。
言い換えると、大学側としては「英語が十分にできるけど、IELTSに対するやる気が特別ない人」を落としてしまわないようなスコア設定をしているわけです。さすがに英語が比較的できる人なら、さぼっても6.5は取れますから。
留学生が欲しいイギリスの大学
一方、イギリスの大学の多くは、留学生が欲しくて欲しくてたまりません。
留学生の学費は、通常のイギリス人、あるいはEU圏内の生徒の学費に比べ、2倍、あるいはそれ以上する場合が多いです。イギリス人の学費は£9000ほどなのに、僕は£19000ぐらい払ってる。これは£1=150円という良心的レートで計算しても、150万円多く払ってることになる。もちろん、£10000追加で払うだけの追加のリターンがあるとは思っていません。
イギリスの大学にとって、留学生というのは収入増のための戦略の一つ。それなのに、IELTS最低スコアの設定を高くしすぎたら、肝心の留学生が減ってしまう。しかしあまり低くしすぎると、手を負えなくなる。
そうして生まれたのが、ファウンデーションコース向けは5.0や5.5、あるいは学部向けなら6.5や7.0という基準です。(これはあくまで推測であり、実感によるものです。)実際、IELTS5.5あれば英語が意味不明という状態ではなく、例えネイティブのイギリス人と話すことに難があっても、授業についていくにはギリギリ大丈夫です。なんというか、ほんとに本気で頑張れば大丈夫。
どこまでが真実なのか、確実なことを僕は言えません。しかし、基準スコアで満足することがいかに危ういことなのか、想像に難くないと思います。
しかし最も大事なことは、IELTSやTOEFLで高得点を取る事ではありません。この様な英語試験と英会話の関係性を、しっかり理解すべきだということです。
英語ができれば試験はできる、試験はできても英語はできない
実際に英語ができるということと英語試験は、完全に異なるものです。英語の試験で良い点を取ったからと言って、それは英語を喋れるということや、英語で小説をスラスラ読めるということは証明しません。
しかし、英語が喋れる人が英語の試験を受けると、例え特別な準備をしなくても、それなりに良い点数を取れちゃいます。それを見て人は、試験と実際の英会話の出来に納得してしまいます。良い点数=英語ができる(話せる)、と。
試験での英語と実際の英会話は、全くの別物です。
比較的良いとされているIELTSでさえ、今なら違うと言える。スピーキングで試験官の話していた英語は、あくまで聞き取りやすいように慣らされた英語。いわば、ペットのようなもの。野生のフィールドでは、みんながみんな、分かりやすい話し方をしてくれるとは限りません。時には獰猛で、野蛮。
例えば英語の出来をどれだけ話せるかで定義するのであれば、それはもう、実際に様々な英語に触れ、慣れ、実際に使って鍛えていくしかない。そういうものです。
僕は恥ずかしながら、留学当初にその辺りの自覚が少なかったです。
IELTSの結果が良かったから、実際の英語も大丈夫。ちょっとくらいできなくても、すぐ慣れていく。でも実際に僕が手にしていたものは、伝わらず、馬鹿にされたダンゴムシのような英語力、そして前に残された英語力上達への長い道のり。
こうしてやっと、「英語の勉強に終わりはない。」と高校の英語の先生が話していた意味が分かりました。
わたぽんのまとめ的なにか
今思えばですが、最低スコアをクリアしたら大丈夫なんて、そんなことないってことは簡単に分かったことです。試験での英語が実際の英語と違うってことも、当たり前とも言える。
でもそれは僕が実際にイギリスで苦しんで、初めて当たり前と認識したことなのかもしれません。だから今なら、6.5で十分だ、最低スコアで大丈夫、なんて言いません。同時に、スコアを実際の英語力と繋げて考えることもしません。英語の勉強に終わりはないし、特に留学前段階で満足なんてできるはずがない。
IELTSの結果は一つの結果だけにすぎず、実際の英語の海というのは、広く、荒れている部分もあるということです。そう初めから認識しておくだけでも、留学時に落ち込むことが一つ減るでしょう。
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
Comment
No trackbacks yet.
No comments yet.