F1じゃなくて、日本で就活してることについて

こんにちは、わたぽんです。

ちゃんと書くべきだよなとはずっと思っていたのですが、実は今、F1じゃない道を選ぼうと思っています。てか、エンジニアでやってくつもりもありません。

「なんでやねん」

そうツッコまれることもあるけど、ボケのつもりで言ってるわけじゃない。むしろ最初に一番驚いたのは、自分自身。自分に聞いたもん。「ほんまかいな?」

 

F1を夢見て7年以上が経ちました。
F1の中心地であるイギリスへ渡り、鬱になっても諦めず、F1チームでのインターンまでたどり着いた道のり。このブログは、その道のりを描き、F1に手が届いたことを最初に報告する場になる。実に4年半もの間、その予定でした。

 

でもプランが変更されるようです。

これまで勝手に期待させてきたので、ちゃんと説明します。あえて今、F1に行かんとこーと思っている理由。

 

F1をいつやめるか、ずっと考えてた

実はF1をずっとやり続けるつもりは、元々ありませんでした。F1がずっと存在し続けるのかさえ疑ってました。

当初こそ35歳でF1チームでチーフエンジニアになってやめる、なんてぼーんやり考えてましたが、どうも気が乗らない。

特に留学二年目に鬱になってからは、5年くらいでやめようと考えだしました。その構想は、インターンをしてる時により具体化していきました。最長5年でやめる。

F1がなくなるかもしれないってのはあるけれど、同時に、F1にこだわりすぎたくないなとも思っていました。

 

うん、F1”だけ”できる人にはなりたくなかった。

 

特に僕が専門としている空気力学というのは、F1では開発が特化されすぎて、現状では中々他で活かせるものではありません。入れば入るほど、他業界で扱い辛い。あるいは、活かせてもF1と似た興奮は得られない。

入り込めば入り込むほど、出るのが難しくなる迷宮なのかも。飽き性でF1以外にも色々やってみたいのに、もしかしたらF1に入り込んじゃうのは得策じゃないのかも。

インターンを始め、仕事にも慣れてからは、正直自分が燃え尽きてることにも気づきだしていました。F1燃え尽き症候群。

 

それでもまだ、しばらくはF1で働くつもりでいました。F1が嫌いなわけではなかったし。表彰台取ったらシャンパン飲めるし。

 

 

それで本当に幸せなの?

誰かがそうささやいてきたような気がする。

夏休みに、日本で一時帰国してた時のことです。2年ぶりに日本に帰ってきていて、過去と現在の自分がごちゃまぜに入り混じっていました。

 

過去の自分とは、F1を前に殺気立った様相で立ち向かおうとしていた自分。
現在の自分とは、F1でインターンを終えて落ち着いた自分。

 

現在の自分は夢だったF1で働き、幸せに満ち溢れてるはず。なのに、違った。

 

あまりにも捨ててきたものの代償が大きかった。

 

F1のために、ブログ以外の全てを葬り去ってきました。残ったブログだって、月に一回更新されるかされないかのような瀕死状態。ニュースもF1に関して以外は見なくなった。「F1と私、どっちを取る?」って彼女に聞かれ、「F1に決まってる」って答えて悲しませたこともある。その彼女は、今はもう僕の前にはいない。

でもそれが今も、自分が求めてることなのか?

そう自分に問いただすと、答えはNoでした。

人気ブログに育ててみたいし、F1以外のことももっともっと話したい。やってみたい。「F1か私…」なんて聞かれたら…いや、そもそも相手にそんな質問を聞こうとなる心情にさせたくない。

 

だから夏休みからずっと、自分にとっての幸せの再定義をしてきました。その結果、たしかに今まではF1を目指してきて正解だったと言える。けれど、「今はF1へ行くことが、最適解ではないかもしれない」という仮説にたどり着きました。

正直言うと、半分逃げ、半分攻め。

 

それでも1年前のインターンをしていた時の自分なら、二の足を踏んでいたでしょう。多分、F1に3年いようとか言ってた。でもそれも夏休みに、きっかけが訪れました。

 

 

夏休みに見つけた、自分の得意

自分は何が得意なのか分かっていませんでした。いや、得意なことなんてないと思ってた。

多くの人達に助けられて、運と奇跡でインターンにありついたものの、まさか「運を導くのが得意です」なんて言えない。あるいは、運を導くための要素を分解してみても、別に得意だとは思えない。他のことだって、たしかにF1を目指す同年代の中ではそこそこ得意な方だったかもしれないけれど、一歩外の世界では微妙…。

全て、F1という枠組みのおかげ。
F1という井の中でだけちょっとできても、大海に出たら抹殺されてしまう。だからF1でもう少し自分を成長させて、自信をつけて外に出よう…なーんて考えてました。

うん、外の世界が怖かった。

 

その考えが変わったきっかけが二つ。

一つ目が、NPO活動の留学フェローシップに参加した時のこと。「海外進学を通して主体的な進路選択・生き方について考える」のが活動の趣旨だったんですが、

「まさに主体的に生きているじゃないですか」

と周りに言われ、ちょっと得意気。えへへ。他にももっともっと賢くて、ランキングの高い海外大学に行ってた人がいたにも関わらず、僕も褒めてもらえた。

 

もう一つが、ソースカツ丼を食べていた時のこと。一緒にテーブルにいたのは、アメリカやイギリス、日本のトップ大学の人達。現時点で、僕が逆立ちしたって敵うはずがない人達。そこでふと話しました。

「F1チームでインターンするのにビザの条件がややこしくてさ、それクリアするために大学で新しいコース作ってんw」

何の気なしにそう話したら、周りが一斉に驚いたのです。「なんやて?!」って。僕も驚いた。え、なんでそんな驚くのって。

僕としては、ビザのせいで大変やったんよ~~という何気ない留学生活の一幕を話したつもりだったのですが、どうもそうではないらしい。新しいコースを無理矢理作ってでも夢を叶えにいくって、凄いぞそれって。

そこで初めて気づきました。あ、これが僕の得意なことかもしれないって。

 

夢を持つことができ、そこにどんな手を尽くしてでも到達しようとする姿勢。時には掲示されたルールに従うだけじゃなく、新しくルールを作ってでも。周りは不可能だって言うことも、自分だけが信じて、そこから周りを巻き込んで成し遂げてしまう。逆境になればなるほど、突破口をどんどん見つけてくる。それが僕の得意なこと。

 

世界のトップ大学に行ってる、僕より何百倍もできる人達が口を揃えて本気で褒めてくれた。もしかしたら、F1の外でもやってけるかもしれない。そしてこれはかなり普遍的な強みになりえるから、他の分野でもやってけるかもしれない。今はビジネスの世界かな~なんて構想を膨らませています。やりたいこと、やってきたいなー。

 

僕は今、以上の仮説を元に進んでいます。正しいのであれば、F1以外でも面白い、自分だけにしかできないことができるはずだとワクワクし、そして不安になっています。

 

 

わたぽんのまとめ的なにか

個人的なことをつらつらと書きましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。F1を目指す僕の姿勢によって、元気ややる気をもらえるという声も度々受けるようになりました。嬉しいです。だから、ちょっと辛いです。先ほども書いた通り、これは半分逃げであり、半分攻め。

突然の航路変更。無事ハッピーエンドとなるのか、それともサウサンプトン港を出たタイタニック号のように海へ沈むのか。後者ならちゃんと映画化してほしいなー。主演女優は吉岡里穂さんでお願いします、なんて。

 

正直、何が正解かなんか分かりません。もしかしたらF1にいるべきなのかもしれません。感覚が麻痺してるだけで、隣の芝生が青く見えてるだけなのかもしれません。

ただどの道を選ぶにしても、変わらないこと。それは、F1で学んだことが、僕にとってはほぼ全てだということです。F1のおかげで今も前を向いて生きることができているし、人生楽しいって思えるようになったし、怖がりで弱い自分をここまで引っ張ってくることができました。どこに行ったとしても、F1を通して学んだことは忘れません。そしていつかは、また別の形でモータースポーツへ恩返しできたらなーと考えています。

未来を変えられるのは、今からの自分自身。どの選択肢を取っても、絶対にハッピーエンドにする。

だってハッピーエンドじゃなきゃ、生きてて面白くないもん。

 

以上、わたぽんでした。ほなね!



わたぽんの簡単な自己紹介

わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら

ブログ「わたぽんWorld」について

僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!

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Comment

    • Miko
    • January 20th, 2019

    人生には『消去法』というのも大事ですね。『しなくても良いこと』を見極めるのも、人生の時間を無駄にしない為にはとても重要です。F1を学んでみて、なんだか自分にしっくりこない、と見極められて良かったですね。F1の世界のことはよく存じませんが、これで一生食べていく、というのはかなり大変だと思います。私の場合は美容師なので、人間に髪の毛が生えている限り、世界中どこでもそれなりに需要のある業界なのですが、それでも一生この道で食べていく、と考えるとちょっと心配になることもあります。私の場合はF1業界とは逆で、あまりにそこら中に美容室があるので、競争に負けない為にどうしていくか、という課題です。私も夢を追って19歳で日本を出ました。でも学校を卒業して実際働いていくうちに『現実』というのは本当に現実なのだ、と身をもって教えられました。食べていかなきゃならないんです。親にも頼れない、自分で食べていかなきゃならないわけで、仕事がなかったら’収入もない。現実問題です。ウチの旦那のいとこが48歳で、過去に離婚していますが、子供が一人います。未だに両親の家に住ませてもらい、食べさせてもらい、お小遣いをもらい、子供の養育費まで払ってもらっています。48歳でまともに職を持った経験もなく、そのくせ『夢』ばかり語って、自分の夢がかなわないの世間のせい、と愚痴ばっかり。夢は刺青師で成功すること。でも超下手なんです。本当に下手です。 もう人生半分費やして、今でも『夢』を語ってますが、現実には自分の力で生きていくこともできないでいます。生きていく上で、自分に本当に必要なことを見極めて、行き先変更するのもとても大事だと思います。わたぽんさんはF1の勉強をしてみたからこそ、日本で就職しよう、という結論を得たので、留学は必要経験だった。色々学べ、異文化の中で暮らしてみて、この先の人生の大変重要な糧を得られたと思います。ご自分の力を最大に発揮できるお仕事がみつかりますようにお祈りしています。

    • Mikoさん、ブログを読んでいただき、ありがとうございます。
      夢と現実っていうのは、相いれない仲に見えて、実は共存するテーマなんですよね。夢を叶えられる人って、現実的な覚悟がある、みたいな。Mikoさんのコメントが身に染みて感じます。
      Mikoさんも色々とご苦労なさったようですが、これからたくさんの幸せが訪れることを祈っております。コメントありがとうございました!

    • Tomoya Kimura
    • February 19th, 2019

    ホンマにすごいなって思う。こういう人が成功を勝ち取っていくんやろうなって。自分も含めて、大抵の人は鬱になるまで、自分を追い込んだことないと思うから、そっからのバネはすごいと思うし、不安なんて感じずにイケイケドンドンで進んでいってほしい。同級生として誇りに思う。

    • まさかの。コメントありがとやで! 同級生としてお互い面白いことできるといいね。

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プロフィール

わたぽん(@wataponf1_uk)

高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでの1年インターンも獲得。現在は卒業し、日本でF1から離れ生活中。 詳しいプロフィールはこちら


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