夢と現実の差…F1チームに入って一週間
こんにちは、わたぽんです。
F1チームでインターンを始めて、一週間が経ちました。本当は入る前に、その時の気持ちを書き記しておきたかったんですが、時間が取れませんでした。なので今、その埋め合わせを。
というのも、インターン開始4日前までFormula Studentでの車作りに翻弄され、その後は引っ越しやら新生活の準備やらでてんやわんや。インターンでスタートダッシュを切るための準備させままなってない状況。それで良かったと思います。
全く違う生活を前に、準備なんて、あってないようなもの。
それに、「準備」と言い訳して、だらけるのにはもううんざり。それなら、直前まで他のことに必死になってる方が、何倍もマシ。
おかげで、なんとかラウンチには間に合いました。
(率いてきたエアロチームのコアメンバー)
冒頭の写真は、サウサンプトンを離れる日に撮ったもの。とても暑い、快晴の一日に、クルーズ船までも停泊中。海辺の街を、最後に感じられて良かったです。
さて、F1チームに入って一週間。
描いた夢と現実の差
5年以上、憧れ続けた場所。追い求めてきた世界。F1。
色んなリサーチをしたし、たくさん妄想もしました。
実際にF1での経験も何もないのに、そこが桃源郷だと信じてきた自分には、ある種の恐怖さえ覚えます。夢の宝島を目指す海賊。あるいは、絶対神を崇拝する信者。
英語を学び
イギリスへ渡り
Formula Studentでもがき
Fish & Chipsを日常にして
sarcasmに慣れずにここまでやってきました。
ずっと必死だったし、犠牲になったものもあります。
それでも追い続けた、夢の楽園…F1という名の、想像の世界。
入って一週間。
僕は毎日のように感じています。
「なんて夢のような生活なんや!!」
「嬉しすぎる」
もしかしたら、想像以上に僕にフィットした世界。
朝、雑草と柵の向こう側、遠目に羊らしき白い点々を眺めながら、車で通勤。
窓を全開にし、イギリスの夏の朝の空気を感じつつ、ふと思います。
「なんて夢のような生活なんや?」と。
白シャツに紺のスラックスを合わせ、身だしなみを整える。二つとも、面接前に「絶対損はしないから!!」と友達に勧められ、イギリススタンダードに合わせようと、M&Sで買ってきた品。あの時の投資も、今に繋がったのでしょうか。
車は、数年前に雑誌で見てから乗ってみたいと思っていた、スズキ・スイフト。
それを運転し、何年も夢見てきたイギリスのF1チームへ、通勤する。
本当に、幸せすぎて明日空からビネガーでも降ってくるんじゃないかと思う。(すっぱそう。)
チーム内の雰囲気も、仕事も、先輩社員がやっていることも、僕がこの一週間で経験したことも、夢のようなことばかり。
今週末は、F1チームに入って初めてのレースがアゼルバイジャンであるけど、もう以前と同じ目線で見られないでしょう。
「憧れの世界」から、「僕の所属する世界」に変わったのです。
…
そりゃもちろん、付き合って数か月したらすれ違いが起こりだすカップルのように、倦怠期もあるかと思います。でも、まずは第一印象。ここで間違いない。
まあ、僕がいくら間違いないと思っても、社員さん達が「こいつは間違いだ」と思えば、元も子もないんですけどね。。。
凄い奴ら
不安はあります。
というか、今はワクワクが勝ってますが、いつか不安が再び覆いつくす時が来ても、なんら不思議ではありません。
F1エンジニア、彼らは凄い奴らです。
今まで大学で、先輩がF1チームへ就職していくのを何人も見たし、F1で働いてる方々とお話ししたこともあります。軒並み、みなさん賢いです。
そして今、同じオフィスで働いてる社員さん達も、とても頭の回転が速い人ばかり。
前に座ってる人はケンブリッジ卒だし、話すのは早いし、隣の人は仕事効率高いし、「いやはや、大変だ」と思ってるのも事実です。
それをとある先輩エンジニアの方に話したら、笑われました。
そりゃ初めは、誰でも凄く見えるでしょ。オフィスの人みんな、スーパーマンのように見えるんじゃない?でもそれって、まだ君が未熟だってこと。その内分かるよ、あいつらも大したことないなって。笑
もしかしたら、それがこの一年の一つの指標になるかもしれないね。どれだけ周りからスーパーマンが減るか。
確かに、今までもそうでした。
高校に入った時も、イギリスに来た時も、Formula Studentを始めた時も、周りはスーパーマンばかり。
しかし徐々に、スーパーマンは減っていきます。
やっべ、俺なんもできひんやん…と絶望しつつも、その環境でひたすらに学んでいく内に、「まあ、こんなもんか」となっていくのです。
「この調子でもうちょっと頑張れば、立ち向かえるんじゃない?」と勘違いも始め、でも実は勘違いじゃなかったりして、本当に、対等に渡り合えるようになったりします。
この一年、スーパーマンの数に注視。
最先端と歴史
ところで、Twitterでもちょくちょくネタにしてますが、現在、とあるイギリスの村に生息しています。
なんというか、本当に村です。
建付けの木の看板と共に村の入り口があって、村の中には細い道ばかりで。ばかりでと言っても、片手で数えるほどの道しかなくて。
時速300kmを超えるレースカーを作ってくるわ!と日本を出て、イギリスのスローライフを満喫中です。
家は築300年。
夏は広い庭で朝ごはんを食べ、BBQパーティーができ、冬は現役の暖炉を利用。庭の倉庫に薪がたくわえてられてるんです。本当に。
暖炉の前でウィスキーを一杯も。。。ここは雑誌・BRUTUSの世界か。
制限速度が低いじゃないかと、5mphほどオーバーして走っていたら、カーブを曲がった先に、乗馬してる光景が見られます。村のメインロードを走ると、絶対に馬の糞を踏むでしょう。Inevitableです。。。
最先端を仕事にし、歴史ある場所で過ごす。
ある意味、良いギャップなのかもしれません。
おかげで最初の一週間も、落ち着いて過ごせました。
あと、今年一年の仕事があった日は、日記をつけることにしました。日記というか、毎日の仕事に関する心情を、書き綴ってみようと。
ガラスのデスクに、重厚な黒のノートが、個人的にお気に入りです。
わたぽんのまとめ的なにか
「夢と現実の差」なんて、思わせぶりなタイトルにしてごめんなさい。差はもちろんあるけれど、良い意味で驚きの連続です。楽しいですよ、F1チームでの仕事。
イギリスに来て3年目が終わろうとしています。
もう3年か、と感じています。毎日必死だったからでしょうか。特に今年一年は、一瞬で過ぎ去っていきました。
次の3年はどうなるのでしょうか。
高校での3年間が「F1とイギリスの大学へ入るための下準備」
イギリスでの最初の3年は「F1チームに入るための挑戦期間」
だとしたら、次の3年は何と呼べるのでしょうか。
毎日を丁寧に、確実に。今の状況を幸せに感じながら、3年後を楽しみに、でも次なるステップも考えつつ、前に進んでいきます。
Steadily and constantly, but surely.
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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