夢が叶う時って、現実的に過ぎ去っていくみたい
こんにちは、イギリスで大学生してるわたぽんです。
ついにこれを書く日が来たのかと思うと、少しそわそわします。
「将来の夢はなんですか?」
小さい頃から、この質問が大嫌いでした。何を言っても現実的じゃないし、かと言ってサラリーマンとか言いたくないし。
そんなコンプレックスの反動でしょうか。
「F1のエンジニアになりたい!」
高一の夏の終わり、突然夢を追いかけだしました。
それからかれこれ、5年半。
夢みたいな事や、真っ暗な地底の底を這いつくばうような日々。色々ありました。ジェットコースターのような5年半。小さな小さな、期間限定で作られるようなジェットコースターですが。
しかし、ここ最近は夢のような日々というより、現実的で、サッと過ぎてく日常のようでした。特急列車の通過というより、普通列車が止まり、しばらくして走り出す。そんな日々。
…そろそろちゃんと書きます。
「今年の夏から、F1チームで1年間、インターン生として働くことになりました。」
イギリスでのインターン
イギリスでは、インターン(Internship/Placement)が盛んです。それも日本の大企業のように1日インターンという名の説明会で終わるんじゃなくて、夏休み3ヵ月間、あるいは1年間のように、長期間、実際に企業の一員として働くというものが主流です。
だから、僕はF1チームにて1年間、実際のエンジニアと同じように働く経験が得られます。
ところで、チーム名や役職、その他色々な事が歯抜けになっています。ごめんなさい。ちょっと、さすがにブログで世間一般向けに書きにくいことも、ちらほらあります。10年後ぐらいにオフ会でもして、話すということにしましょうか。笑
あ、チーム名はなんとなくです。多分すぐにTwitterとかで書いちゃいますね。Facebookでは友達限定だけど書いたし。
しかしまあ、今書ける範囲で、現実的に過ぎていった夢のような日々の断片を描いてみましょう。
書類選考で落ちてた頃
イギリスでも大学二年生になり、風向きが良い方向に向いていました。Formula StudentではチームのHead of Aerodynamicsとして、空力開発を率いる役になってました。また、夏休みには、日本のレースカー作ってる会社でインターンもしました。
大学の成績も悪くないし、ひょっとするかもしれない。
なんて希望が打ち砕かれるのに、2ヵ月もかかりませんでした。
秋に申し込んだF1チームでのインターンは、面接にさえ呼ばれない。全て書類選考落ち。悔しい。いや、それ以上。
もう全てが嫌になるのかなって思ってたけど、その「悔しさ」は良い方向に傾いてくれました。
多分、人生で一番必死だっただろうなと思います。今振り返ると。
ただがむしゃらに、しがみつく。
1日全て、レースカーをデザインすることだけを考えていました。寝る時間も少なくなったし、寝てる時も夢の中に何度も出てきました。
そんなクリスマス休暇直前に、僕は大学のコース変更をしようと思いました。イギリスの大学に通いつつインターンするには、ちょっと、いや、かなりややこしいルールがあるのです。以前にも少し触れました。
わたぽん「インターン含めたコースに変更したいです!」
教授「ええで、でもインターン受け入れてくれる企業を先に見つけな変更は無理やで。」
わたぽん「wtf」
そのコースに変更しなければ1年インターンはできないのに、そのためにはまずインターンをゲットしなきゃ話が始まらないようです。
しかも
教授「インターンは2年生と3年生の間しかあかんで。3年生と4年生の間のは受け付けへんで。」
来週からはクリスマス休暇。12月も半ば。コース変更の期限は…
教授「2年生のイースター休暇前」
わたぽん「まじっすか…」
イースター休暇前。つまり3月半ばまで。あと3か月。突然のタイムカウント。あと3か月以内にインターンを受け付けてくれるF1チームを見つけなければ、新卒でF1チームに就職するという目標も、ほぼ達成不可能になります。
(海外生にとって、F1チームでのインターンは、就職に必須と言っても過言ではありません。)
色々手続き考えたら、あと2ヵ月。
「3年生になって、さらに成長した姿を見せれば、インターンいける!」
良いフィーリングを得ていたのに、突然、垂直落下。
しかも、通常のインターンの応募は、その時期既に終わってたし。
最初で最後のチャンス
お正月、新年の目標。
たまにかっこいいこと言ってる人いる!僕も!
2017年はF1チームに入ります。まだ諦めてません。よろしくです。
— わたぽん/Wataru Kawamoto (@wataponf1_uk) December 31, 2016
半分冗談、半分本気。半ば投げやり。
このツイートの数日後、とあるF1チームから、面接への招待が届きました。(もちろん、僕がアプライしたから呼ばれました。がここではその話は飛ばされます。)
「最初で最後のチャンス。」
薄々と感じていました。
もしこれがダメなら、長い回り道をしなきゃいけない。あるいは、諦めるか。
だいたい、インターンは3年生の終わりにやるのが普通なのに、まだ2年生で1年インターンをゲットするのは、そう簡単なことじゃありません。僕が言いたいのは、”かなり先に先にと準備してきたつもりなのに、いつの間にか追い込まれてた“ということ。
実は、逆に準備を早めてなかったら、完全に不可能だったんだなと、最近気づきました。ビザとか、大学とか、ビザとか。。
そんな大事な面接だったのに、あろうことか、ほぼ準備なしで行きました。
前日はいつも通り、夜遅くまでFormula Studentの開発に従事してたし、よく考えれば、イギリスの面接というのがどういうものかも、なんとなくしか知らずに行きました。
いつも通りの毎日に、スポット参戦のようにあった面接。
当日朝には、久しぶりのスーツにテンション上がってました。緊張してたはずなのに。
いや、顔ひきつってる?笑
もちろん面接の内容とか書けないのですが、僕は面白いほどに緊張が薄かった。多分、Formula Studentや普段のイギリスでの大学や生活と同じ感覚で突っ込んでたんだと思います。
英語は喋れるようにはなったけど、やっぱりまだまだ壁を感じるし、スムーズにペラペラ話せるわけじゃない。だからいつも、必死にというか、常に緊張状態で話しています。その感覚のまま、面接でも必死に喋ってました。だから緊張が薄かったです。
あっという間の面接。
ずっと目標としてきたF1チームの面接。
すうーっと過ぎていって、僕は真っ昼間のパブにいました。なんとなく帰りたくなかったので、電車に乗る前にボーっとビールを飲んでました。ベルギービール、おいしかったです。
「無理やな」
勝手にそう思いました。
これが最後のチャンスだったのか…。どこか体の力が抜けていって、蝶々が羽ばたいた後のサナギの抜け殻のようになりました。
F1チームの合否は、一般的に電話かメールかで見当がつきます。
面接に受かった場合は電話。通知画面に、BrackleyやMilton Keynesと表示されるそう。
逆に落ちた場合は、メール。
僕に届いたのは、メールでした。
「思ったより早かったな」となんの躊躇もなしに開いたメール。今夜飲もうかな、とか思いながら読み始めます。
「ビザの要件を確認するために、パスポートのコピーを送ってください。」
あれ?
絶望のメールのはずが、突如希望に変わりました。もしかしたら、もしかするかもしれない。
しかし、次に来たのも、メールでした。
大学のグループプロジェクトのミーティング中に「これは終わった…。」と絶望を感じながらメールを開きます。なんか内容長いなーと読み始める。
1年インターンへの招待通知でした。
ミーティング中に、思わずガッツポーズしてしまいました。なんというか、信じられない。読み間違えじゃないかと、何度も何度も読みました。友達にも確認しました。
うん、間違いない。
喜びに狂い踊ってハッピーエンド…かと思いきゃ、思いもしない壁が立ちはだかります。
———-ビザ———-
簡単に言うと、大学のシステム的に、本当は僕は1年インターンができないはずでした。そこで色々動いてみた結果、大学のシステムを変更することに成功。
よし、これでいける!
と思った矢先、今度はビザの要件に阻まれます。
さすがに国のルールは変えられない。講義中に大学のビザチームから連絡が来ました。ようは、「君はインターンできないよ。」と親切に知らせてくれるメール。次の授業に行かず、ライブラリーに行ってパソコンを開きました。
「ごめんなさい。ビザの影響で、1年インターンはできません。」
F1チーム充てにメールを書いてたら、一人の友達が通りかかりました。彼もInternational Studentで、それまでにもビザとインターンの情報を色々共有してた人です。
わたぽん「ビザ的に無理やから、インターン無理やわってメール書いてるとこやねん。」
A君「ほんまに無理なん?どうにかならへんの??」
わたぽん「うーん、もし大学に適した新しいコースを作ってもらって、そこに僕がコース変更できるなら、可能かもね。」
A君「それなら良い人知ってる。〇〇さんに連絡してみ。助けてくれると思うで。しかも権限もあるし。」
正直、もう無視しよかなと思いました。それまでにも何人もの人になんとかしたいと言い、たらい回しにされ、挙句の果てに無理だと言われたところ。ひどく疲れてました。
だけど、あと一歩、これが最後の悪あがきと、その人に連絡してみることにしました。
講義に遅れてまで連絡先を教えてくれた彼に例を言い、とりあえずメール。そして、その人のオフィスを探して、直接訪問。
だけど、いません。
待ちました。3時間、扉の前で待ちました。
金曜夕方、結局会えなかったので、その週末は絶望の淵。そして月曜朝、朝目覚めると、その方からのメールがありました。
一週間後、大学に適した新しいコースを作ってもらって、そこに僕がコース変更できることになりました。
不可能と可能を、何往復もした数週間。
もし、あの時授業をサボらなければ、ライブラリーで友達と会って話してなければ、このインターンはなかったことになります。他にも今回、様々な運と縁に支えられました。だからでしょうか、”自分の力で成し遂げた”という感覚があまりありません。
感謝…ですね。
わたぽんのまとめ的なにか
夢が叶うって、いつもあっけなく過ぎてくんでしょうか。
なんというか、毎日が必死で、気づいたら一か月、また一か月と過ぎていきます。その間に経験してることは、5年半前の僕にとって夢のような毎日のはずなのに、今ではそれが、どこか現実的に流れていきます。
実はインターンのことについて、ほぼ誰にも話していませんでした。事前に話したのは3人だけ。むやみに面接招待された!なんて話すと、手の甲に落ちた水のように、スルリと流れ落ちてしまいそうな気がしたのです。
その分、インターンを取った後に周りに話す時は、周りの反応を見るのが楽しかったですね。趣味悪い。
今は通勤のための車探しや、新しい町での家探しに扮装中。
はい、夏から一年、サウサンプトンを離れることになります。オックスフォードあたりが、近くなりますね。一年したら、大学三年生として戻ってきますが。
そして、地味に”F1のエンジニアになる”という夢が叶っちゃうことになります。もちろん、ただのインターンだけど、一応。F1チームに入ると、さすがに外には書きにくいことも多々あるし、第一忙しいはずだし、ブログの更新率も今以上に少なくなるでしょう。
ブログやツイッターなどで声をかけてもらい、どんなに厳しい状況でも、「一人じゃないんだ」「ここで諦めるわけにはいかない」と感じていました。
今まで、応援等ありがとうございました。
なんだか終わりみたいになってますが、これが僕にとって、F1チームでの長い旅路の始まりになることを願っています。インターンとはつまり、長期の就職面接のようなもの。僕がポンコツであれば、それがF1チーム中に知れ渡り、しばらくF1チームで働けなくなるかもしれません。
夢へのチケットであり、地獄への入り口かもしれない。
いまだこの道を追い続けられてることに感謝です。多くの支えと縁と運によって届いた場所。それを忘れず、これからも突き進んでいきます。
よろしくです(´・ω・`)
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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