【理系学生→文系職】大学で学んだ専門以外で就職することは怖くないのか?
こんにちは、わたぽんです。
「自分が大学で学んだ専門知識(強み)以外で勝負する(仕事に就く)事は怖くないか?」とは、フォロワーの学生さんから受けた質問。
僕は大学では航空宇宙工学を専攻し、ずっとF1エンジニア(特にエアロダイナミシスト)だけを追ってきたにも関わらず、就職ではIT系企業で営業又はコンサルタント職として内定しています。
答えから言うと、そりゃあ不安はあります。怖いですよね。
今まで学んできたことと、直接活かすことができない職種に身を置くことになりえるのですから。
淡々と書いてるようにみえますが、実際めちゃくちゃ思い悩みました。
せっかくなので、同時に受けた質問もまとめてお答えしてみます。全て、大学から社会人になるにあたり、異世界への挑戦をどう捉え、どう動いているかをまとめる良い機会かとも思ったので!
ちなみに質問内容は、
- 航空宇宙工学生の進路の選択肢について
- 専門以外への挑戦は怖いか?
- 新しい取り組み(DeepRacer)では何をしているのか?
- (F1という)折角得た大きな機会を手放すのは惜しくなかったのか?
です。Here we go!
Q1.『航空宇宙工学系の学生が就ける仕事といえば、自動車開発、人工衛星の開発、飛行機の開発(国内はあまり盛んとは言えない)、ロケットの開発を行う各企業か、または最近流行りの宇宙系ベンチャー、または今わたぽんさんがしているような事が大筋だと考えていますが、他に選択肢はあると思いますか?(こういう思いもよらない企業に実は需要がある、みたいな話が(もしあれば)聞きたいです)』
僕のいた航空宇宙工学の場合、車や飛行機、ロケット・宇宙周りの関連企業なんかが中心です。民間用、軍事用は特に問わず。イギリスでは、F1チームも人気の就職先の一つです。プログラミングに強い人は、ITや制御系のエンジニアを選ぶ人もいます。
次に、金融やコンサルティング関連に就職する人もいます。数学の知識を求められる金融や、論理的思考力や分野別の専門知識を求められるコンサルティングにとって、工学を学んできた学生はちょうど良かったりするのです。
営業やその他エンジニア以外の職を選ぶ人もいます。
特に工学の知識が求められる技術営業なんかは、むしろ理系で学問を修めてきた人の方が求められていたりしますし。逆に学生としては、大学の内から、エンジニア・マネジメント(エンジニアチームをどうマネジメントするか)等の単位を取ることだってできます。
上記は全て、イギリス・サウサンプトン大学で学んできて見てきたことです。聞いた話では、日本では若干事情が違うようですね。面接で見られてるのは、「何をしてきたか」より、「そこで自分がどう考えて生きてきたか」だったりするので。
イギリスでは新卒でも即戦力を雇うというのが基本線なため、職種と専攻の関連性はよく見られます。でも日本の企業は入ってから育成するという方針が(特にこれまでは)取られてきました。だから、何が今できるかという技能よりも、どういう人なのかが見られがち。
僕の場合、一番強く求められていたなーと感じたのは、嗜好品関連の企業だったりしました。世の中では少数派だとしても自分の夢を求めてきた生き方が、良く受け止められたというのもあるでしょう。
また、航空宇宙工学はその学問の性質上、数学の塊です。大学生の間でも大変だと言われる理系・工学部の中でも、最も難しい学問系の一つとさえ言われています。そんな航空宇宙工学を修めたというだけで「優秀なんじゃないか」とざっくり捉えられることもありえます。
なので、気になる分野があれば、挑戦の機会が大いにあると思って大丈夫かと。なんだってできます。自信も持って。ただし、イギリス(海外)の場合は専攻による制限が大きいので注意。
Q2,『自分が大学で学んだ専門知識(強み)以外で勝負する(仕事に就く)事は怖くないか?』
怖いです。
でもあのままF1に行く方が怖かったです。色々。
今抱えている悩みが、去年の悩みと同じなのだとしたら、何かを変える時なのかもしれません。
Q3.『今わたぽんさんが取り組んでいるDeepRacerには、どのように関わってるか?』
少し紹介から始めると、僕は今、AWS(Amazon Web Service)が主催する自動運転ロボレース「DeepRacer」に、日本からチームで参加しています。
僕はマネジメントチームの一人。PRや資金調達をしています。F1エンジニアとは全く違いますね。笑
エンジニアとして参加しても、正直言って空力以外では全くの役立たず。特に統一ロボカーを使い、強化学習プログラムの差で勝負するDeepRacerでは、プログラミングをまともにやってきてない僕は門外漢。
とはいえ、一応小さな車両のレースではあるので、稀に今までのレース知識が役に立つことはあります。走行ラインのこととか。ちなみにスピード域的にも、空力の影響はほぼありません。笑
Q4.『F1よりも知名度の低いDeepRacerは、誤解を恐れずに言うならば、仕事のデカさ、名誉みたいなものが比較的小さいものと言えますが、折角機会を得た大きな仕事を手放すのは惜しくなかったか?』
F1を目指さないという選択は、惜しいというか残念でした。あんなに面白い仕事なのに、あれじゃ満足できないと思ってしまった自分が。
仕事のデカさや名誉に関して言えば、率直に言って全く気にしてませんでした。
僕がDeepRacerチームに参加しようと思ったのは、単にやってみたい!と思ったからです。
ずっと理系にいて、開発以外のことをしたことがほとんどなかった。そんな中でエンジニア以外の道を進むにあたり、なんとかして”それ以外のナニカ”をやってみたかったのです。そこにたまたまDeepRacer世界一に挑戦するチームができた情報が入りました。
「レースとはしばらく離れ離れかなあ」なんて思ってたのに、やっぱりレースって聞くと「面白そう!」って思っちゃうんですよね。笑 しかも自動運転なんて、未来の枠組みを作るようでワクワクしたし。日本から世界一へとか、そういう話大好きだし。ミーハーなんです。
そこでチーム代表の方に連絡をし、結果、運良く”開発以外をするメンバー”としてチームに迎えてもらうことができたのでした。
進路の選択基準は、悪い逃げじゃないかどうか
まとめると、僕の進路選択基準は、悪い逃げじゃないかどうか、と言えるでしょう。
今までF1を求め続けてきたのは、「F1を追わない = 求めてることがあるにも関わらず辛いから逃げる」を意味するだけだったので。
僕にとって、これは悪い逃げです。
しかし今は、F1を目指す上で一番の壁だと感じていた1年インターンをした後で、自分の最大の壁を乗り越えたと、自分で言い切ることができます。だから、他のことをやってみてもいいかってなってます。
人間は目の前に大変なことがあると、他のことやろっかなーと逃げてしまいがちですが、その逃げが「自分がさらに飛躍するため」の良質な逃げか、「ただダメになってしまうだけ」の悪質な逃げか、見極めたいところですね。
クラウドファンディング、挑戦しています!
ちなみに今、僕の参加しているチーム「Deep4Drive」では、DeepRacer世界一を目指し、クラウドファンディングに挑戦しています。
Deep4Driveは『自動運転やモビリティを通し、技術者の育成をするコミュニティ』です。僕にとっては初めての経験で、クラウドファンディングそのものが、日々挑戦の連続だとも言えます。知識ゼロからのスタートでしたが、なんとか公開にこぎつくことができました。こうやって、新しいことを学んでいくんでしょう。
内容は、特に自動運転に興味がある人にとって、技術資料や自動運転学習コース、DeepRacer実機走行会等をする機会にもなっています、是非ご支援・ご声援、よろしくお願いします! 拡散していただけるだけでも嬉しいです!
以上、わたぽんでした。ほなね!
わたぽんの簡単な自己紹介
わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら
ブログ「わたぽんWorld」について
僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!
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