F1チームでの1年インターンを終了した – 憧れが現実になった年

こんにちは、わたぽんです。

F1チームでの1年間のインターンが終わりました。あっという間だったというのか、振り返ってみるとやけに短い1年だったように感じます。しかし1年というのは確かに365日あって、というか実際は1年以上チームにいさせてもらって、なんと贅沢な1年だったんだろうと思います。

元々僕のために用意されたポジションに、僕のために作られた大学の新コースに移ってイギリスのビザ基準をクリアするという、力業で到達した場所。やっぱり贅沢としか言いようがない。

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そんな1年を終えた、今の気持ちを綴ってみます。

 

夢と憧れの世界…

F1チームでの初日を思い出すと、やけに天気の良い日だったことを思い出します。ランチタイムに車で移動する僕は、まるで別世界に生きているような気分でした。つまり、高額の学費による罪悪感にさいなまれながら、それでも夢だけを頼りに曇天の中這いつくばってきたイギリス最初の3年間に比べて。

たまらず、車の中で「やっほーーーう!」と叫びました。

 

そうして始まったF1チームでの1年。

あまりにも憧れが強すぎると、実際に目標に届いた時に、現実を見てげんなりしてしまう…と言われることはあります。でも僕の場合、違いました。

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チームでの日々の中で、思い通りじゃなかったことなんてほとんどなかった。というか、むしろこんなもんやろうという日々。この辺りは、日本のレース会社でインターンしていたのと、Formula Studentで似たようなことしてたのが良かったのかも。
そんな中でも、幾つかの大きなチーム内での出来事に僕は酔いしれていました。

 

例えば2018年4月。アゼルバイジャンGPで3位表彰台を取った時のこと。僕は完全に一人のファンとして喜びつつも、チームの一員としてその結果を嬉しく思いました。僕らの作った車が、好結果を生んだ!

週が明けた水曜日にはアゼルバイジャンGPのトロフィーと共に、記念写真も撮りました。

 

チームとしては2017年、予算規模が全10チーム中最低と言われる中でも、2年連続のシーズン4位を獲得。これはメルセデス、フェラーリ、レッドブルという、現在F1の強豪3チームの次。大企業・ルノーや老舗・マクラーレン、あるいはウィリアムズといったチームを、大きく上回る結果でした。ある意味、良い年にチームに迎えてもらったなと思っています。

 

僕の個人的なハイライトも数あれど、表向けに話せることであれば、イギリスGPで人生初のパドックやガレージに入らせてもらったことかなと。ガレージでは実際にレースチームが作業する現場の前線基地。例えばタイヤ交換をしている場所もその一部と言われれば、分かりやすいかもしれません。
そしてパドックでは、雑誌やテレビで見てきたエンジニアやドライバー、チーム代表、カメラマンの方たちが、せわしなく働いている。セレブリティがもてなされるのもパドック。

いわば、F1レースの心臓部とも言えるこれらのエリア。憧れは隠せません。ここにチームの一員として足を踏み入れた時は、嬉しくて嬉しくて叫びながら走り出してしまいそうでした。もちろん、パドックに入れさせてもらえたのには違う目的があるので、あくまで冷静なように、スマートに。

土曜日には観客として、シルバーストーンサーキットへF1を観に行きました。

晴天と歓声の中、僕らの車が走ってる。

純粋に思う。
こんな仕事、最高じゃない?

 

 

必死と継続の狭間

ただ、厳しい思いをしてきたのも事実。僕は本当にチームの役にたっていたのか?ふさわしい働きをしていたのか?そう言われると、なんとも答えられません。

 

インターン中はやっぱり必死。

実力や経験で劣るのが常なインターン生。人一倍働いて、動いて、学んで、そうして初めて先輩社員の方たちと肩を並べて仕事できる。時には悔しくて自分に腹が立って、家に帰るといてもたってもいられず、夕暮れの中とにかく走りに出たことも多々ありました。住んでいたのはド田舎。休耕地を前にONE OK ROCKの「未完成交響曲」を唄ったり、いや叫んだりしていました。

同時に、継続を意識した生活もする。

朝早くから夜遅くまで勉強していた大学生活を、そのままインターンに持ち込もうとしたけれど、真っ先に上司に言われたこと。それが「それじゃ続かないぞ。今は分からないかもしれないけど、何年かすれば分かる。」

 

いかに限られた時間の中で、求めている結果を出すか。これはレーススタートの時間が決まっているレースの世界において、重要な要素でもあります。

だらだらと時間をかけていた高校大学時代に比べ、いかに効率よく終わらせるかを意識しました。そして休む時には徹底的にリフレッシュすることを意識する。

 

うまくいったのかな?
そんな毎日。

 

 

これから – わたぽんのまとめ的なにか

この先どうなるのかは分かりませんが、とりあえずは、大学に復帰することが先決。

夏休みは日本に帰り、ビザの延長や秋からの個人研究に向けて、準備を始めたりしています。そして9月からはまた、大学で3年生(イギリスでは学部最終学年)として戻ることに。かれこれ5年目となる、僕の”イギリス留学”の完結に向けて。

その先、大学院に行くのか、あるいは就職なのかは、まだ僕が天秤にかけるというよりかけられているような状態です。どうなるんでしょうね。とりあえず今はこの暑い日本の夏の日差しの下、キリっと冷えた日本酒を飲みたい。

以上、わたぽんでした。ほなね!



わたぽんの簡単な自己紹介

わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら

ブログ「わたぽんWorld」について

僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!

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プロフィール

わたぽん(@wataponf1_uk)

高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでの1年インターンも獲得。現在は卒業し、日本でF1から離れ生活中。 詳しいプロフィールはこちら


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