イギリスの大学に進学することを考えだしたときから、サウサンプトン大学合格までのことを書いてみる – その(1) –

「興奮していた。今の選択肢を見つけた時、パソコンの前で一人、今にも立ち上がろうかという勢いで気持ちが高ぶっていた。でも誰にも言うことができなかった。」

 

2014年11月、僕は今、イギリスのサウサンプトンというところで、大学生活を送っています。この時期は毎年、考え込むことが多くなる。そして毎年、僕にとっての何かが変わる時期。そう、イギリスに行こうと決めたのも、秋。だからなのか、イギリスの大学を考えだした3年前から今までのことを、ふと思い出しました。振り返ると、長くて孤独で、でも充実した準備期間だったなと思います。まだブログで合格前のことは詳しく書いてなかったので、いくつかに分けながら、綴っていくことにしました。

ちなみにですが、STORYS.JPさんで英語に焦点を当てた大学合格までの道のりは既に書かせてもらっています。
英語が嫌いで苦手だった僕が高校でTOEFL iTPのスコアを147上げて、日本の大学の推薦を蹴りイギリスの大学に進学する話

さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、合格までの3年間を振り返ってみます。

 

海外の大学?

– 2011年、秋、高校1年生

F1のエンジニアになりたい!」と思いだした僕は、連日のようにどうすればF1のエンジニアになれるのかを調べていました。

(F1のエンジニアが何か分からない人へ:「いや待て、F1のエンジニアってなんやねん?」て人に伝えたい6つの魅力)

学校から帰ると、ずっとパソコンと向き合う日々。「F1 エンジニア なるには」、「F1 エンジニア 大学」など、似たようなキーワードをGoogleに打ち続け、似たような答えを見続ける。僕の場合「F1のエンジニア」になるのが最大の目標であって、どの分野を学ぶかも並行して調べていました。そんな中、いつも粘り強く検索結果の上位に来てくれるYahoo!知恵袋。様々な質問が飛び交う中で、「F1のエンジニアになる方法」に関する質問もされていました。

…しかしどれも、なんかびみょい…

まず情報が古いのが多かった。2000年代の解答をみると、日本の自動車メーカーに就職して、そこからF1を目指せ。という、今では考えにくいものもありました。他には、「確実な道はないが、とにかく東大などの一流校の機械工学科で首席で卒業するぐらい勉強しろ」というものも。自動車専門学校という解答もありましたが、正直僕の中では論外。

「とりあえずイギリスへ行け。向こうではモータースポーツの学部なんかもあり、レースが文化として根付いている。」

これもそんな、ふざけた解答の1つでした。

「イギリスねぇ…。」

率直に、最初はピンときませんでした。でも他のどの解答よりも、なぜか説得力があり、可能性があり、そして夢がありました。立命館高校に通っていた僕は、そのままエスカレーターに乗って立命館大学に行く道が用意されており、まずは立命か、立命以外かを考えていた。そして立命以外なら、京大とか東工大のような、世界的にハイレベルなとこ目指すのかな、と思っていました。だからまさに、蚊帳の外から突然舞い込んできた、それがイギリスという選択肢だったのです。

でもでもでも、イギリスですよ?日本の中高大一貫校というサボれる環境にいた僕が、そう簡単に行けるのか、と。Yahoo!知恵袋でイギリスという選択肢を見た後、しばらく日にちを開けてから、調べてみました。ただ単に、当時は「イギリスの大学」とだけ聞いて放置していたのです。留学情報なんて見るの初めて。調べ始め、「すぐにこの扉は閉ざされるのではないか?」という不安と、「英語ならなんとかするから、頼む!」という緊張感、ドキドキ感が、僕を取り囲んでいました。しかし調べるにつれ、不安がどんどん消え、むしろワクワク、震えている僕がいました。そう、イギリスの入学基準は、僕が見た限り、甘かったのです。

付け足しですが、日本の高校からイギリスの大学に進学する場合は、基本的に学部に直接入学ではなく、「進学準備コース(ファウンデーションコース)」に1年通う必要がありました。ただ大学付属のコースであることが多いので、ファウンデーションコースに通うことが、イギリスの大学への進学方法として挙げられます。

ではここで一度、一般的なファウンデーションコースへの進学に必要なものをまとめておきます。

(1) 高校の成績
(2) 英語力証明
(3) 志望理由書
(4) 推薦書
(4) その他書類の提出(卒業証明書など)

見て分かる通りですが、とても曖昧です。笑
そこでそれぞれの基準も調べました。例えば英語力証明にはIELTSというテストがよく使われ、だいたい5.0とか5.5ぐらい取れば大丈夫だと。これを普段学校で受けさせられていたTOEFL iTPに換算してみると、不可能な数字ではありませんでした。というか、以前先輩が取ったスコアと同じぐらい取ればいいと分かり、なんとかなるやろうと思ったのです。単純明快。

成績についても数学と物理をしっかりやっとけば、工学系の学部は大丈夫そう。これならなんとかなる…今思うと僕は、センターと二次試験をパスして京大などに行く大変さを考え、心のどこかで諦めていて、イギリスの緩い基準に流されていたのかもしれません。そう、逃げていたのかも。

とにかく、ある秋の夜から、僕は真剣に「イギリスの大学へ進学」という道を考えだしました。

誰にも言わず、こっそりと。

 

まっすぐではないけど、とりあえず動き出す。

17019705536_5b807c4ec6_k

まだ実際行くかどうかは分からない。でも限りなく、僕の気持ちはイギリスへ傾いている。そんな状況はある意味、大変でした。でも今の暮らしをそのまま続けていれば多分行けないなというのは、なんとなく分かっていました。当時は英語こそ、高校入ってから本気だしたので点数取れるようになってきたけど、イギリスの大学へ行くレベルでは全くない。数学などでも一度60点とか取って、ギクッとしたことも。

そしてストレートに、こういうルートでイギリスの大学へ行くんだ!という道筋も、実は決めかねていました。というのも、ファウンデーションコースからは、イギリスの名門校であるケンブリッジやインペリアルカレッジロンドンなどには進学できないからです。(例外はあるそうです。)F1のエンジニアというのは、頭の良い人たちの集まり。一流校でやっていけるぐらいでないと、有数のエンジニアにはなれない。そう思っていた僕は、イギリスの高校生と同じA Levelという試験で良い成績を取り、一流校に進学したい、とも思いました。いっそ高校を中途退学して、イギリスへ渡ろうかとも。

ただ、すべてにおいて共通していたことは
英語を扱えるようになり、学校の成績を良い状態でキープし、なおかつ課外活動にも積極的になること

何も分からなかったけど、僕はイギリスへ向けて、動き出しました。

 

まず身の回りを見て回る。日本語で溢れている。携帯電話も、Facebookも、みんな日本語。僕は英語化できるものをすべて、英語化しました。携帯、Facebook、iPod等。そしてiPodの中で洋楽だけのプレイリストを作り、音楽を聴くときは必ずそれだけを聴くように編集。

また、モチベーションのことも考慮。今まで白一色だった壁に、F1のポスターカレンダーをぺたり。まあこれはただの自己満です(笑)

次に手を打ってみたのは、先生に聞いてみること。高校のときの英語の先生が、昔イギリスの大学院に行っていたと聞いて、僕はそれとなく、あくまでさりげなく、尋ねてみました。もちろん直接聞く勇気がなかったので、というか聞いたら先生に見透かされそうだったので、ノート提出のときに、質問。

「TOEFL iTPで550とるためには、どれくらい勉強が必要ですか?」
「イギリス人と話せるようになるには、どれくらいかかりますか?」

また、高校3年では、プログラムでイギリスに行ける可能性もありました。ただし、選ばれた人だけ。だから、

「高3でイギリス行くには、どれくらいの英語力が必要ですか?」

なんて聞いたり。他にも今まであまりしなかった英語に関する質問も、どんどんしていきました。”It is ~~~, isn’t it.”とか当時はさっぱり分からなかったので…多分先生には、半ば迷惑な生徒だったかもしれませんね。笑

 

そうそう、イギリス人と初めて会話したのも、このあたりの時期でした。

高校のイベントでScience Fairというのがあったのですが、そこにイギリスの高校も参加していたのです。そこで僕は、やみくもにイギリス人にアタックすることにしたんですよね。無謀な。

この時の思い出は二つ。

一つはイギリス人の先生と話してみたこと。なんというか、イギリス人の英語は聴きとりやすいと思っていた僕。その先生のこもっていうような低い声は予想外。正直に言って、何言ってるかさっぱり分かりませんでした。

16855676958_df2d39e71a_k

そしてもう一つも結果は惨敗?。同世代のイギリス人生徒と話したのですが、”F1が好きだ!”と伝えるだけでも、3~4回言い直したり。それじゃ向こうも大変ですよね…ただ最後に一緒に写真撮らしてもらったから、いいのです。当時の僕には、イギリス人と話した、というステータスが、モチベーションや経験として必要だったのです。

こうして僕の思考に大変化が起きた秋が終わると、京都には底冷えの厳しい冬がやってきました。

 

その(2)に続く:イギリスの大学に進学することを考えだしたときから、サウサンプトン大学合格までのことを書いてみる – その(2) –

【その(2)の予告】

冬を迎えた京都。夢がどんどん具体化してゆく…コンテンツとしては、

・大学はどこが良い?少ない情報から必死に”何か”を探す日々
・英語の先生に言いだしてみた。
・2年前の焦り

という感じかなと思っています。TwitterFacebookページで更新通知は出しますので、お楽しみに^^

以上、わたぽんでした。ほなね!



わたぽんの簡単な自己紹介

わたぽん(@wataponf1_uk)
高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻中。未熟で失敗ばかりするも、その度に這い上がってきた。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでのインターンも獲得。自分と未来を信じて、夢は叶えられると証明したい。詳しいプロフィールはこちら

ブログ「わたぽんWorld」について

僕、わたぽんの「F1のエンジニアになる」という夢を叶える道を綴るブログ。2014年に運営開始。夢に近づけば近づくほど、更新頻度が減っていきます。
テーマは夢とイギリス留学。僕の生き方が励みになると言っていただくことが増えてきて、とても嬉しいです!

Related post

Comment

    • けい
    • December 3rd, 2014

    自転車での琵琶湖一周の距離を調べてたどり着きました。

    まだそれほど読ませて頂いたわけではありませんが、琵琶湖一周にしても留学にしても、
    明確な目標に向かって一直線というパワフルな方だな、と思いました。

    おかげでこちらまでパワーをもらった気分です、ありがとうございます。

    その(2)、気長に待っています(笑)

      • watapon
      • December 4th, 2014

      コメントありがとうございます。
      パワフルかどうかは想像におまかせしますが、僕のブログからそのように感じてもらえて嬉しいです。
      その(2)、今年中には書きますね^^

  1. No trackbacks yet.

プロフィール

わたぽん(@wataponf1_uk)

高校生の時に「F1マシンをデザインしたい!」という夢を抱き、F1の中心地:イギリスへ。サウサンプトン大学で宇宙航空工学を専攻。そして渡英4年目には、念願であったF1チームでの1年インターンも獲得。現在は卒業し、日本でF1から離れ生活中。 詳しいプロフィールはこちら


Twitter Facebook note

おすすめ記事

アーカイブ

Return Top